QCC ニュース (2004年9月5日号)
 
     
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羽田空港再拡張の入札参加は鹿島ら15社JVのみ申請

造船業界待望のメガフロート工法は入札直前に断念

 

 

  羽田空港再拡張事業(D滑走路建設工事)入札参加者が8月26日に締め切られた。参加申請をしたのは、埋立て・桟橋組み合わせ構造(ハイブリット)工法の鹿島を代表とする15社JVのみで、この時点で同JVの落札が事実上決定した。
 国土交通省は、入札者が1JVになったことを踏まえ、有識者による委員会を設置し、入札契約の透明性の確保やコスト縮減などを進める方針を明らかにした。
  多摩川河口に建設されるD滑走路は、ハイブリット工法、メガフロート(浮体構造)工法、桟橋工法によって入札される予定だったが、入札締め切り直前に造船業界12社で組織する「浮体工法共同企業体設立準備室」(代表・津田尚輝IHIマリンユナイテッド顧問)が入札を断念したため、ハイブリット工法の1グループだけの入札申請となった。
  ハイブリット工法で申請したJVは、鹿島(代表者)・大林組・五洋建設・佐伯建設工業・清水建設・新日本製鉄・JFEエンジニアリング・大成建設・東亞建設工業・東洋建設・西松建設・前田建設工業・三菱重工業・みらい建設工業・若築建設の異工種15社。
  8月27日、都内で記者会見をしたJV代表の川合勝鹿島副社長は「コスト、工期、実績などを総合的に判断し、ハイブリット方式で申請した」と、関西国際空港、中部国際空港など空港埋立て工事の実績と新たな桟橋工事によるハイブリット工法に自信を覗かせながらも、対抗馬のメガフロート工法の入札辞退に「断念するとは想定していなかった」と述べ、コメントを避けたものの建設業界を中心にしたJVでの入札申請に安堵の表情が隠せなかった。
  一方、入札断念をした造船業界は「ゼネコン、マリコン、舗装業者など77社に入札参加協力を要請したがすべて断られた」(津田代表)と述べ、造船業界上げて初のメガフロート工法採用に取り組んできただけに落胆も大きかったようだ。
  今後のスケジュールは、10月に「技術提案書」を、12月に「実験等報告書」の提出して審査を受けた後、来年3月に入札を行うことになる。
  なお同工事は、受注したJVが提案する工法の設計・施工一括で発注され、工期は05年3月から09年2月まで。総事業費は6,900億円が見込まれている。また、受注者はオプションとして完成後30年間の維持管理を担当する。

 
 
   
 

防衛庁跡地再開発
「東京ミッドタウンプロジェクト」本格工事に

都内最高の248メートルなど5棟構成の55万平方メートル

 

 

  東京・港区の「六本木ヒルズ」に次ぐ規模で開発される防衛庁跡地再開発の「東京ミッドタウンプロジェクト」の超高層ビルA棟(ミッドタウンタワー、高さ248メートル)の本体工事を中心に本格的に始まっている。
  同プロジェクトは、三井不動産・全国共済農業協同組合連合会・安田生命保険・富国生命保険・積水ハウス・大同生命保険の6者コンソーシアム。建築計画の基本デザインを担当するマスターアーキテクトを米国・スキッドモア・オーウィング&メルリ建築設計事務所(SOM)を起用し、実施設計は日建設計をはじめ日米の建築事務所が参画している。 
ビル構成は、A棟からE棟の5棟。施工するゼネコンはA・C・D棟を竹中工務店が、B・E棟を大成建設が担当している。
  再開発の概要は、敷地中央に建つA棟のミッドタウンタワー(複合棟=地下5階・地上57階建て、延べ床面積27万7,000平方メートル)で、完成すれば都内で最も高いビルになる。同ビルは地下1階から地上2階までが店舗などの商業施設。3階から44階までの延べ床面積約19万4,000平方メートルをオフィス。45階以上の同4万平方メートルをホテル「ザ・リッッカールトン」(250室)の配置となっている。
  B棟(複合棟=地下4階・地上25階建て)はオフィスに同5万8,700平方メートルと住宅に同2万2,000平方メートルを配置し、C棟(住宅棟=地下3階・地上26階建て)は全床面積の3万7,000平方メートルを住宅として配備する。
  D棟(住宅棟=地下4階・地上11階建て)も全床面積の1万9,000平方メートルを住宅に整備し、E棟(業務棟=地下4階・地上12階建て)は全床面積の4万平方メートルをオフィスの配備となる。5棟の延べ床面積は約55万2,000平方メートルになる。同プロジェクトをはじめ都心は都市再生特別措置法に基づく再開発(都市再生緊急整備地域一次指定)は、いよいよ本格化する模様だ。

 
 
   

高強度コンクリート・高強度鉄筋を挿入した
「スーパーCFT柱」

実大モデル実験で、施工性や品質性能確認を実証
=戸田建設=

 

 

  戸田建設は、地上200メートルを超える超高層マンションをはじめ大スパン事務所ビルやホテルなど商業施設に適用する「スーパーCFT柱」の実大施工実験を行い、施工性や品質性能確認の高さが実証された。
  スーパーCFT柱は、コンクリート充填鋼管(CFT)に使用するコンクリート強度を高め、その上に高強度鉄筋を挿入した構造で、優れた耐久力と変形性能(靭性)を持つため柱断面を小さくできるため有効床面積が広くなり、超高層マンションの良好な住環境をつくり出すことができる。また、柱と梁の接合部に使用するダイヤフラムを改良し、住宅内部空間への影響が出ない構造になっている。高さ200メートルを超える超高層マンションでも、柱断面を90センチメートル角程度に抑えられる。
  実大モデル実験は、60センチメートルのコラム(角形鋼管)に設計基準強度60N/平方ミリの充填コンクリートとD32の高強度鉄筋を使用した。実験モデル施工に当たっては、各節ごとに地上の作業スペースでコラムに鉄筋を挿入した。コンクリートの打設は、圧入と落し込み充填の2つの方法で行い、コラムに作用するコンクリート測圧や歪みを測定したほか、CCDカメラによってコラム内部の充填状況などを観察し、コンクリート硬化後、コラムを切断して細部にまで充填されているかを確認した。
  今回の実大実験の結果、鉄筋の接合が工程に影響を与えないことや、目標性能を満足するコンクリート強度、CFT柱の変形性能を満足する実証が得られたことから、施工管理基準を作成するとともに、新構法による施工に踏み切るとしている。

 
 
   

<今月の雑感>
日本経済の発展に寄与した団塊世代の新たな活路創設

 

 

  戦後のベビーブーム期に生まれた団塊世代(47年−49年生まれ)の大量退職が日本経済に与える影響に関心が集まっている。
団塊世代は前後世代に比べ人口が多いだけ、07年から09年時期に多くの退職者を出すことになる。そのため、一時的に企業の人件費の軽減や消費増加などなの効果も期待されるがその半面、労働人口の減少なども懸念され、長期的にはマイナスとの見方もある。
  財務省の財務総合政策研究所がまとめた報告書によると、この世代の退職で10年度には最大110万人弱の雇用が失われ、実質GDP(国内総生産)約16兆円が減少するとみている。そのことで、貯蓄減少や財政、社会保障の収支悪化を招き、企業の退職金や年金負担が急増する。さらに労働者の減少で賃貸オフィスの需要低下も懸念されるという。
  こうした報告書に対し民間総合研究所は、短期的にはプラス効果を指摘し、退職金で豪華な旅行、住宅リフォームやデジタル家電の購入など消費増加につながるとみている。また、雇用形態の変化による低賃金・パート採用などによって、実質GDPが約6,746億円アップするとの試算もあるが、いずれも机上の計算でしかないような気がする。
  東京オリンピク以降の経済成長に寄与してきた団塊世代には、企業に対する滅私奉公と技能・技術を秀達した人材が多く、そうした技術がマニュアル化され「生の技術伝承」が行われないままリストラ対象になっているのも現実である。
  少子高齢化がさまざまな問題の起点になっているが、むしろ団塊世代がキーワードを握っているように思われる。退職後の彼らもう一度檜舞台に立たせるため、国や厚生労働省をはじめ民間団体や企業が英知を出し、国内での産業創生と途上国へ技術支援派遣を積極的に行うことで、閉塞した景気対策にも新たな活路が見出せるのではなかろうか。