QCC ニュース (2004年11月5日号)
 
     
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04年度鉄骨需要推定は760万トン回復も 依然厳しい状況

厚板30−40万トン不足、経産省・ミルメーカーに陳情
=鉄建協=

 

 

  建築鉄骨の需要回復の兆しを見せている。国土交通省が発表する建築着工統計から推計する9月の鉄骨需要は約65万トンで、04年度4月−9月の上半期実績で約388万トン(前年比約11%増)になる。03年度が約691万トンで、同上半期が約350万トンであった。04年度の年率換算では約760万トン規模に推定される。
  一方、昨年夏以来ジリジリ高騰してきた鋼材が今年から急騰し、鉄骨向け鋼材である厚板・角形鋼管(コラム)・H形鋼などの品不足と納期が延びていることからファブリケーターは鋼材手当てに困窮している。また、材料高で鉄骨単価の上昇はしているが「鋼材急騰ため鋼材費に転嫁するだけで、加工費据え置き現象が続いている」(中堅ファブ経営者)との声がファブ業界を代弁している。
  こうした中、大手ファブ団体の鉄骨建設業協会(鉄建協)は厚板(SN490材)供給の逼迫、調達・納期問題が深刻化していることから緊急対策会議を開き、今月早々に経済産業省、鉄鋼メーカーに陳情する一方、中小ファブ団体の全国鉄構工業協会(全構協)と歩調を合わせ、大手ゼネコンおよびデベロッパーなど建築主に対して鉄骨価格の適正価格の陳情を行う方針を打ち出している。
鉄建協によると、厚板の納期が180−230日(6ヵ月以上8ヵ月以内)、TMCPはさらに30−60日(1ヵ月から2ヵ月)プラスになる。したがって、大型プロジェクトに対応するにはロール発注は6ヵ月から最長10ヵ月かかることになる(そんな前にファブは受注できない)。
同協会では1万トン単位で使われる大型プロジェクトを調査した結果、04年第3四半期から05年第2四半期の1年間で30万−40万トンの厚板が不足する。さらに、ミルメーカー筋から来年1月からトン当たり1万5,000円の価格アップを通告されている。
  「ゼネコンの提示する発注価格と納期は、適正加工賃が担保されなく材料確保と価格転嫁の板ばさみに陥っている」(鉄建協・緊急対策会議メンバー)から(1)ファブの置かれている状況を社会にアピール(2)鉄骨価格と適正加工費の確保(3)鉄骨原価と鋼材費などの分析C鉄骨造建築の需要喚起策――などを協議し、緊急に結論を出していくことにしている。
  鉄骨需要量は回復基調にあるが、中国特需による鋼材不足から材料急騰・入手不足で依然として経営基盤が安定しないファブ業界であるが、年間760万トンも使用する建築鉄骨業界にミル業界がどれだけ理解・協力するかで、かなりの部分が解決できる問題のだが、今後の推移を見守るしかない。

 
 
   
 

国家プロジェクト「新構造システム建築物」がスタート
鉄鋼材料・構造システム・先進複合材料・市場性など研究

 

 

  日本鉄鋼連盟と日本鋼構造協会は、次世代建築を研究する国家プロジェクト「新構造システム建築物」の開発に着手した。初年度の調査研究が経済産業省の認可を受け、具体的な検討を行う分科会の活動に入った。
  初年度の活動内容は、建築構造・市場性・鉄鋼材料などの新たな可能性を調査し、年度内に報告書をまとめる。同プロジェクトは5年間をメドに新産業の創設をする新構造システム建築物を開発する計画である。
  この国家プロジェクトは総合科学技術会議(議長=小泉純一郎首相)が昨年まとめた「革新的構造材料」に選ばれたプロジェクト計画の中心的テーマである。従来型開発とは異なり、内閣府・国土交通省・文部科学省・総務省・経済産業省が連携し、開発から事業化、市場形成までを産学官共同で進めていくことになる。
  日本鉄鋼連盟、日本鋼構造協会は経済産業省に、新都市ハウジング協会は国土交通省の委託先団体に決まった。プロジェクトは内閣府が主導し、推進委員会が全体運営するもので、合同委員会が各分科会(鉄鋼材料・構造システム・先進複合材料・市場ニーズ調査)の研究開発の調整・評価を行うことになる。
  同プロジェクトは、ゼネコン・建築設計・ミルメーカーに対して将来の建築生産システムのあり方などを調査するとともに、国際競争力の強化を見据えた新産業創出のビジネスモデルとする。5年後に開発した新構造システム建築物を10年後の市場導入を図る方針で進めている。巨大地震が、何時どこで起きるか分からない地震列島ニッポン。国家プロジェクトの成果に期待したい。

 
 
   

スラグ発生量を50%削減した溶接ワイヤ開発

鉄骨溶接ロボットの無人化稼働に最適
=神戸製鋼所=

 

 

  神戸製鋼所・溶接カンパニーは、スラグ発生量を約50%減らした鉄骨溶接用ソリットワイヤを開発した。溶接長が短い鉄骨溶接の連続多層盛りの効率化を図り、スラグ巻き込みによる溶接欠陥を防止する。溶接ロボット用ワイヤ『MG‐55R』の商品名で、12月から発売する。
  同55Rは、入熱・パス間温度管理が不要なYGW18級のソリットワイヤで、従来の同等ワイヤに比べスラグ発生量が50%減らし、板厚25ミリまでの連続積層溶接を可能にした。このことは、年々ロボット溶接化する鉄骨溶接の24時間無人稼働を容易にするワイヤとして需要を高めるとしている。

 
 
   

<今月の雑感>
建築鉄骨製作工場のISO9000認証は屋上屋!
中小鉄骨ファブ130余社が取得

=日銀短観と民間研究機関の分析=

 

 

  海外市場に関係のない建築鉄骨製作(ファブリケーター)業界において、ISO(国際標準化機構)の9000s認証が「燎原の火」のように広がっている。
  鉄骨品質検証する検査技術者を認証しているAWA認証機構が10月に開いた研鑽会での講演(建築鉄骨工事の品質保証と第三者検査)で、「ISO認証とは、書類の山を築く欧州の陰謀」「ISO認証が大事なら国交大臣工場認定を止めて1本化すれば」との大胆な指摘をするが、頷けられる。今月は鉄骨製作工場とISO認証を一考してみたい。
  大手ゼネコンは海外工事に進出しているためISO認証は欠かせないものの、こと国内建築にはJIS規格に準拠し、施工責任を十分に担保すれば足りてきた。そのゼネコンから発注される国内需要の鉄骨にはISO認証を必要としないのに鉄骨ファブのISO認証を取得した工場が130余社もある。
ISO認証取得費用は(予備審査・本審査など)直接費用で1,000万円以上になる。「設備機器や技術・技能資格取得など間接費用と定期的に行われるサーベイ、認証更新も含めれば大変な費用と準備・時間が掛かる」(Mファブ経営者)ものである。取得・維持には大変な費用がかかるが、その分を価格に転嫁できればいいが現実は難しい。
  この認証取得に手助けをするISOコンサルタントは予備審査までの指導を、また本審査をISOの代行業務を担当するJAB(日本適合性認定協会)審査会社および審査技術者であるが、こうしたコンサルタント機関が相互での情報交換しながら当該工場から直接・間接的に報酬・収入源とするJABビジネスの盛況である。
  鉄骨ファブは、国土交通大臣が交付する工場認定制度(S・H・M・Rグレード)があり、全国鉄構工業協会(全構協)、建築鉄骨業協会(鉄建協)2団体がそれぞれ業務窓口となって推進しているが、ISO認証工場が上位資格として位置づけられているから問題である。このことは国交省がかつてパイロット工事を公共工事の品質保証にISO認証企業を入札参加条件とする適用・試行をして以来、地方自治体が右に倣えしたことが大幅に増加に転じた。
  前述の講師が指摘するように、ISOに基づいて品質保証出来れば問題がないが、建築学会規準(JASS6)による自主検査(品質管理)に次いで設計監理、施工管理などと受入検査を合格しなくては鉄骨製品にならないのである。したがって、鉄骨のISOは屋上屋でしかないのである。
  しからば、何故ゆえに鉄骨ファブが競ってISO認証に拘るかと言えば(1)元請けのゼネコンが取得している。また、取得の指導をされた(2)設計事務所・ゼネコンへの品質イメージを高めたい(3)同業他社との営業戦略上の差別化を図る(4)社内の合理化や責任体制の強化――などを挙げているが、これらは認定工場制度で充分に包含できる問題である。
  ISO認証をもう一度確認してみる。
  情報・知識の<イミダス>では、「ISOは、モノやサービスの流通を促進するため、国際的標準規格を作っている。1987年にISO9000シリーズとよばれる品質保証規格を制定した。その特徴は企業の品質管理システムを重視していることで、事業所内での品質管理規則や品質専門部署の業務などを含むシステムを、一定の審査登録機関が検査したうえで認証する。ISOの規格に法的強制力は無いが、最近では事実上の統一規格になってきている。そのために日本企業としても、輸出対策の一環として認証取得の努力をしなければならなくなった。日本ではJIS(日本工業規格)があるし、QC(品質管理)活動も盛んであり、製品そのものの品質には自信を持っている企業も多い。しかし、品質保証システムの標準化が遅れ、その弱点をISOによって突かれたのである」と説明している。
  まさに品質管理システムの弱点を突かれ、莫大な認証費用がISOビジネスに流れているのである。困窮するファブ業界とすれば、全構協・鉄建協はISO対応策に乗り出してもいいと思われるが如何であろうか――。