QCC ニュース (2004年12月5日号)
 
     
  バックナンバーを読む>>  
   

04年度鉄骨需要量760万トン中、SRC造36万トンか

98年以降年々減少し、今年は月間3万トン台を推移

 

 

  鉄骨需要量は鋼材ひっ迫であるものの回復基調にある。04年度の需要量は760万トン(前年比約10%増)が予測される。ところが、この数年の推移をみると鉄骨造建築に変動が起きている。それは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)が、96年度の98万3,800トンから(99年度以外)毎年十数%減少し、03年度は47万0,050トンまで激減。97年度の半分以下にまで落ち込んでいる。
  ちなみに今年1月から10月までの前年同月比の推移をみると、
  1月=4万3,000トン(−2.6%)  2月=2万6,600トン(−20.1%)
  3月=3万3,650トン(−4.0%)  4月=4万1,150トン(−12.2%)
  5月=2万0,750トン(−45.4%)  6月=4万7,300トン(+24.8%)
  7月=2万5,800トン(−45.5%)  8月=2万5,650トン(−35.4%)
  9月=2万5,800トン(−33.5%) 10月=2万2,550トン(−46.4%)
  と6月を除けば毎月二桁の激減である。
  この状態では04年度のSRC造は36万トン(前年比約30%減)の月3万トンベースで、鉄骨造全体の5%以下に落ち込むことになる。
  では、どうしてSRC造が減少するのかを検証してみると、何と言っても建築費に占める鉄骨単価が高いためである。SRC建築の多くは文化会館・美術館など公共施設や本社社屋や金融施設、高級マンションなど付加価値の高い建築物であった。低金利政策が続く中、工期は多少長くても建築費が安く、ゼネコンの裁量下で施工できるRC造か、工期が短くて済むS造に移ってしまうきらいがある。
  ある構造技術者は「阪神大震災以降、鉄筋の配筋規準が変わり、鉄骨に近い鉄筋量のため敢えて鉄骨を入れなくてもいいし、柱をRC造(PCa)にし、梁をS造にするなどハイブリット工法もある。建築コストもあるが、配筋構造がなかなか決まらないことや設計変更の対応に苦慮するなど、若い技術者にはSRC造は苦手な構造になりつつある」と指摘している。
  日本独特の躯体工法であるSRC造が建築費・施工・工期などによって、減少するのは寂しいが、地震国の建築物として、行政庁舎や学校校舎などをSRC造建築にするなど需要喚起を促す施策はないものか。

 
 
   
 

大規模留置場を備えた「神宮前1丁目民活再生PJ」スタート
来年2月特定事業に選定、09年3月竣工を目指す

 

 

  東京都は、JR山手線・原宿駅近くの日本社会事業大学跡地(渋谷区)に大規模留置場を設けた警察施設と民間施設を併設した建物「神宮前1丁目民活プロジェクト」の建設計画をまとめた。
建物の規模は、S造・RC造・SRC造のいずれかの構造体で、地下2階・地上9階建て、延べ床面積約1万8,000平方メートル。建築計画は、05年2月PFI法に基づく特定事業に選定し、同3月に入札を公告する。落札者の決定は同9月、事業締結は同12月の予定。06年1月着工し、09年3月竣工を目指す。
  この大規模留置場建設には地域住民の猛反対に遭って、定員を500人から300人に減少するなど住民に配慮したものの、留置場施設は都内の犯罪多発から欠かせない施設とし、都は住民・渋谷区は「(仮称)神宮前都有地に関する連絡調整会議」で協議をして行くことになるが、その一方では都の事業計画とPFI法事業として規制事実が積み重なって行き、住民の反対運動をよそにプロジェクトは進んでいくことになる。
*この記事に関するURLは、

http://www.zaimu.metro.tokyo.jp/

 
 
   

鋼材需給のひっ迫で日産自動車が生産停止に

ミルメーカー全体が9月中間決算で増収増益

 

 

  新日本製鐵などミルメーカーの9月中間決算は増収増益である。04年度の粗鋼生産は1億1,300万トンが予想されている。かつての高炉廃却が嘘のようである。住友金属工業・鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)の新高炉は、建設に一部役員が反対しての建設だけに思わぬフォロー需要となっている。その一方では、日本経済の牽引役である自動車産業をはじめ造船・建築産業が鋼材需給ひっ迫化で思わぬ事態に直面している。
  日産自動車・追浜工場(神奈川県横須賀市)、日産車体・湘南工場(同平塚市)、九州工場(福岡県苅田町)が5日間の生産ラインの停止を決定した。鋼材手当てがつかないためである。この5日間の停止で、約2万5,000台の生産に影響が出たのである。日産は来年1月から生産台数を上乗せして遅れを取り戻す計画であるが、ミルメーカーとの折衝次第であると言う。
  日産以外では、トヨタ自動車は鋼種610から500種に削減し、ミルメーカーの協力を仰いでいる。ホンダ、マツダ、三菱自動車なども鋼材手当てでは苦労しているものの生産には影響は出ていない。
  日産の生産停止は、「ミルメーカーに対する値上げ牽制と当て擦りもある」との見方もあるが、カルロス・ゴーン社長の就任以来、調達先を絞り込む、ミルメーカーへのコスト要求も厳しいことが、鋼材確保の失敗になったとの見る向きもあるが、果たしてどちらが本当なのか知りたいもの。

 
 
   

<今月の雑感>
近代都市上海の超高層ビルもスモックで霞む
経済至上主義がもたらす弊害に!

 

 

  先月、中国・上海市と杭洲市に行ってきました。上海の玄関口の浦東国際空港には「1日6万6,000人、50ヵ国が訪れる」との広告看板を掲げているだけに大変な賑わいであった。国際都市上海は急上昇の真っ只中なのである。その象徴が浦東新区の500メートルの東方明珠電波タワー、400メートルを超える金茂大厦が建つ陸家嘴金融地区を中心にした超高層ビル群である。
  「1週間で街並みが変わる」と言われていた上海だが、1年ぶりでは変貌振りは分からなったが、空の汚れには驚いた。この変貌は、かつての日本のスモックである。その元凶は市内を走る車・トラックからの排気ガスである。居並ぶ摩天楼はスモックで霞み、近代都市も台無しである。まさに経済・産業優先主義が巻き起こす副作用である。
  1964年10月、東京オリンピック時の空は真っ青で、白い五輪マークが鮮やかに描かれていたが、その後の東京の空は光化学スモックで苦しめられた。排ガス規制によって浄化されてきたものの、酸性雨による植物や建物被害は解消されていない。黄砂やスモックが偏西風によってやって日本に来るので、二次被害国になっている。
  中国の経済は毎年(GDP)8%成長であるが、その大半は沿岸部の都市であって内陸部では依然厳しい生活レベルである。上海市民の月収は1,000〜2,000人民元(約1万3,000〜2万6,000円)であるが、内陸部からの出稼ぎ労務者となれば、500〜800人民元(6,500〜1万400円)程度であると聞く。その出稼ぎ労務者らは3年間で故郷に強制帰省させられ、定住できない仕組みになっている。
  上海市内も郊外にも超高層住宅や戸建て住宅が建ち、3,000万〜5,000万円もする物件が売れている。大半が投資目的で購入するのである。「3年前の物件が2倍になった」と言った話題が当たり前になっている。30年前の日本と同じ道を歩んでいるが、内陸部の人々は10分の1の収入で、しかも出稼ぎに行きたくも行けない状況ある。貧富格差はますます拡大し、環境は汚染されだけでなく心までが荒んでいると言われている。
  上海から170キロメートル離れた杭州市は、中国七大古都のひとつと言われた古都も川はドブ化し、夕日の美しい西湖の水も汚れにまかしている。「中国は徹底した資本主義、日本は典型的な社会主義」と現地の日系企業人が揶揄していたが、どっちにしても環境汚染だけは避けたいものです。