QCC ニュース (2005年4月5日号)
 
     
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サンプリング会・シンポジウム開催
将来にわたりファブリケーターが生き抜くために

=信頼されるファブの条件=を提言

 

 

  建築鉄骨に携わる設計・ゼネコン・非破壊検査・ファブリケーター・副資材メーカーら技術者によって組織・運営されているサンプリング会(会長=田中淳夫・東京電機大学教授)主催によるシンポジウム「将来にわたってファブリケーターが生き抜くため=信頼されるファブの条件=」が2月17日、東京・芝の建築会館ホールで行われた。
  同シンポジウムは、苦境に喘ぐ鉄骨ファブ業界を激励するために企画したもので、鉄骨建築関係者ら130人を超える参加者となった。
  冒頭、田中会長はあいさつで「中国の経済成長による鋼材需要の増大から国内市況の急騰とタイトによって、ファブの置かれている情況は極めて厳しいものがある。その一方で、耐震構造の性能を満足させる鉄骨建築物を普及させるには何が必要なのかと言った問題もある。それには、まず鉄骨を製作するファブが健全な経営で、誇りを持って仕事に従事することが必要である。その基本は信頼されるファブでなくてはならないと訴え、そのためには何が必要なのかを討論して欲しい」と開催の趣旨を述べた。
  進行司会は、矢部喜堂幹事長(清水建設)によって進められた。パネラーは、構造設計者の立場から加賀美安男氏(日建設計)、ゼネコンの立場から宮野洋一氏(安藤建設)、森岡研三氏(三井住友建設)、ファブの立場から奥津典一氏(オクツ=茨城)、中出英三氏(山梨建鉄=山梨)、羽石良一氏(共栄産業=栃木)の6氏が、それぞれの立場から現状分析、問題点、解決のための提言を行った。
  パネラーの提言は、<1>設計図書では理解できない設計品質や発注時にネグレクトされた設計品質を設計者から直に引き出す行動をすべき、<2>ゼネコン現場所長とファブ経営者、ゼネコン鉄骨担当者とファブ技術者との信頼関係を構築すべし、<3>品質保証ができる製品と体制が必須条件になるが、信頼醸成にはお互いの尊敬が必要である、<4>要求品質、技術、価格にそれぞれギャップがあるが、ファブとして技量を向上し信頼され、プライドが持てる体質にすべき、<5>鉄骨部材の自主的品質保証システムの確立をめざす、<6>独自技術・創造性・先見性を持った経営マインドを磨く――など、どのパネラーもかつてないユニークな発言になった。
  この後、パネラーを含めた討論では活発な意見や提案が繰り広げられた。最後に田中会長はまとめとして「これまで言いっ放しで、お互い同士で話し合う場がなかなかなかった。ファブの技術力を適正に評価する工場評価システムなどいろいろ問題があるが、最終的にはファブとゼルコン・設計事務所の信頼し合って良いものをつくる。なおかつ品質保証制度、適切な工場評価ができれば上手くいくのではないかと思う。サンプリング会はエキスパートが多くいるので、今回の提言を元にこれからもできるだけ発信していきたい」との方針を語った。

(詳しくは鋼構造出版発行の「鉄構技術」4月号・5月号を参照)

 
 
   
 

三信ビルディング(東京・日比谷)の保存を訴える

日本建築学会が三井不動産に要望書を提出

 

 

  東京・日比谷の「三信ビルディング」が取り壊され、高層ビルの計画が立てられているが、日本建築学会はビルを所有する三井不動産に「昭和初期を代表する極めて優れた商業建築作品で、地域の文化遺産としての価値は高い」と保存を求める要望書を提出した。建築学会の要望書は、同潤会大塚女子アパート(東京・文京区)取り壊しに対して東京都に提出したことに継ぐものである。
  三信ビルは、1930年(昭和5年)竣工の鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)で、当時の最先端技術が駆使された事務所・店舗の複合建築である。建物の長手方向を貫く1、2階吹き抜けのアーケードが欧州の歴史的雰囲気を漂わせる空間が特徴のひとつになっている。しかし、周囲の高層ビルに囲まれており丸の内・有楽町周辺の再開発一環として三井不動産が建て替えを計画したもの。
  同ビルは、建築設計の草分け的存在の横河工務所(横河建築設計事務所の前身)の設計で、施工は大林組である。建築学会では「横河工務所で、三井銀行大阪支店ビル・東京銀行集会所・日本工業倶楽部ビルなどを設計した松井貫太郎(明治36年、東京帝大建築学科卒)の作品であり、松井作品の多くは既に取り壊されおり、三信ビルは今なお当初の姿を完全な形で維持している意味では貴重な建築物」と歴史的な価値を理解し、保存するように訴えている。
  同潤会大塚女子アパートは、元居住者らを巻き込んだ反対運動をしたものの、すでに取り壊されており、民間の建物である三信ビルの保存が実現は危ぶまれている。

 
 
   
 

新東京タワーの建設地、墨田・台東エリアを第1候補

=NHK・在京民放5社が選定=

 

 

  完成すれば世界一の高さになる「新東京タワー」(地上600メートル級)の建設候補地をNHKと在京民放5社は、東京都墨田・台東エリア(業平橋・押上地区)を最有力地に絞り込んだ。また、東京の震災時のバックアップ機能を考え、都心から30キロ離れたさいたま市の「さいたま新都心」も候補地として残した。
  新東京タワーは地上デジタル放送の携帯端末向け放送サービスを安定的に利用できるようにするのが目的で、大学教授らで構成する有識者委員会が選定作業に当たってきた。全委員9人のうち6人が墨田・台東エリアを、3人がさいたま新都心を推した。「委員の面子のために理由付けして副候補地を残した」(関係者)と指摘されている。
  この結果を受け、NHK・民放5社は墨田区が隣接する台東区との連携して再開発をすることを条件に第一候補地とした。なお、墨田・台東地区住民の支援が得られない場合はさいたま市に切り替えることになる。完成は2011年としているが、「数百億円と言われている建設費や混信障害の発生など、クリアするハードルは高く、順調に進んでも極めて難しい」(関係者)と言われている。
  地元では「建設に反対する声はない。浅草をはじめ下町情緒に富んだ土地柄。伝統行事や観光資源が豊富に抱え、展望台入場者が見込まれる」と誘致を歓迎している。また、東武鉄道など関係企業や商店街も積極的に支援するなど誘致活動に企業・地元商店団体と結束している。

 
 
   

<今月の雑感>
これ以上の鋼材高騰は鉄骨ファブをますます窮地に追い込む

鉄鋼メーカーは建築ファブ業界に協力する手立ても

 

 

  日本鉄鋼連盟の三村明夫会長(新日鉄社長)は鉄鋼専門紙の報道によると、2月の定例記者会見で「05年度の鉄鉱石価格は前年比7割増で決着した。確かに買う立場からすれば非常に高い印象だが、需給バランスのこともあるだろうし、鉄鉱石会社も3年間で2億トンという能力増を図ってきたので、その原資確保もあるだろう」とかなり鷹揚な発言になっているが、その背景には昨年来の価格急騰が奏功し、鉄鋼各社の決算はかつて無いほどの高収益になっているからである。
  この鉄鉱石値上げによる新日鉄の試算によると、鋼材価格は2,500億円のコスト増に加え原料炭のコストアップ分を入れると7,000億円、さらに船賃・原油価格の高騰などを合計すると1兆円程度のコスト増になると言う。このコストを吸収するには鋼材価格の値上げでしかない、とユーザーに価格転嫁する。
  三村会長の記者会見での発言は鉄鋼連盟を代表して原材料の大幅高を強調し、新日鉄など鉄鋼大手による自動車・造船・電機向け、鋼材納入価格を05年度から20%程度値上げすることを通告し、順次10〜20%の上げ幅で交渉し合意を得るための布石であったことが明白である。
  建築業界では、建築物に占める鋼材費は鉄骨造ビル(S造・SRC造)で5%程度。鉄筋コンクリートビル(RC造)で3%であり、鋼材は厚板、H形鋼などを多用する鉄骨造に影響が高い。大手ゼネコンでは、鋼材費の値上げは完成工事総利益率に与える影響は0.1%から多くて0.2%とみているが、鉄骨製作をするファブは鋼材費込みでゼネコンから受注するので、その影響は大きいものがある。
  すでに昨年来からの急騰で、鋼材費はトン当たり平均5〜6万円増になっている。さらにトン当たり1万円から2万円アップになったら、すでに受注物件に支障が起き、かつこれからの受注活動が出来なくなる。さらに危惧されるのは、鋼材高を避けて設計事務所やゼネコンがS造・SRC造構造からRC造構造に変更することにある。また、鋼材使用量を減らした設計・工法に切り替えることで新たな問題を起こしかねないとしている。
  自動車・造船・電機など大口ユーザーとは異なり、ファブ業界は大小1万社を超える工場数で鋼材使用量750万トンであるだけに価格転嫁が極めて難しい業界である。材料の鋼材がなければ鉄骨は出来ない。材料高になればその分加工費を圧迫すること必至である。鉄鋼メーカーは大手・準大手ゼネコン・団体を訪問し、鉄骨発注価格の上乗せ交渉をするぐらいの努力をしてもいいと思うが如何であろうか!