QCC ニュース (2005年7月5日号)
 
     
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溶接・接合技術伝承・新技術・人材育成を講演
日本学術会議がシンポジウムを開催

 

 

  日本学術会議・接合工学専門委員会によるシンポジウム「わが国の製造業を支える溶接・接合技術はこれでよいのか」と題して、さる4月26日、東京・六本木の日本学術会議講堂で開催され、同学術会議会員ら各分野の学識者・専門家ら100余名が参加した。
  同シンポジウムのサブタイトルを「溶接技術・人材の現状と将来展開を考える」とし、溶接・接合技術の伝承や新技術創生、これらを担う人材の育成にスポットライトを当てた講演となった。
  建築分野から田渕基嗣・神戸大学教授、藤盛紀明・清水建設常務執行役員技術戦略室長・技術研究所長、橋梁分野では三木千壽・東京工業大学教授が基調講演を行った。また、パネルディスカションには濱野公男・鉄骨建設業協会技術部長が参画した。
  基調講演は(1)わが国の製造業における溶接・接合技術の位置づけ、重要性について、(2)溶接・接合分野におけるわが国の高等教育の現状と期待される人材像――の2テーマで行われた。
  建築分野では田渕教授は「阪神淡路地震から見た建築鉄骨溶接の実態」について言及し、スカラップ、エンドタブ、脆性破壊など建築鉄骨固有の問題を巨大地震によってどのように影響・破壊するか、また溶接の施工技術との関係などについての見解を述べた。
  橋梁分野では三木教授が「自己に学ぶ、鋼橋での事例」について事故や鋼橋の割れ、疲労をキーワードに事例を紹介し、その対策技術を述べた。
  教育・人材では藤盛氏の「溶接・接合技術の技術開発および施工を支える人材像」については、建築鉄骨の変遷と非破壊検査技術(超音波探傷試験)採用と技術革新、人材育成に言及し、さらに地球環境に対応した清水建設技術研究所が開発・提案する鉄骨架構「トリプル・スケルトン構造システム」を紹介した。

 
 
   
 

米国系物流施設「プロロジスパーク」の積極展開
既存拠点12ヵ所、計画10ヵ所で6000億円を超す投資額

 

 

 生産拠点を中国など東アジアに移転したこともあって、倉庫・物流センターなど物流施設の建設需要が増えている。そうした中で、米国系不動産開発会社のプロロジス日本支社(本社=東京・港区)は1999年に上陸して以来、6年間で建設した物流施設の開発は驚異的である。
 同社のJ・H・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は「世界的に見て先進的な物流施設への需要は伸びており、中でも日本とアジア市場は非常に重要な市場だ」と述べ、日本国内での事業拡大に強い意欲を示している。
 同社は2000年9月にプロロジスパーク新木場(東京・江東区)に建設してから3大都市圏に12施設(延床面積約70万平方メートル)を所有・運営しており、このほかにも10施設の開発構想を明らかにしているので、150万平方メートを超える規模になる。
 当初はGIC(シンガポール政府出資公社)との共同で設立した日本向けファンドによる資金が中心だったが、これに01年10月にはシンジケートローン(協調融資)を組成し、総額245億円の融資を受け、その後も03年8月400億円、04年9月650億円と調達している。さらに国内外の投資家からの調達と、第3弾のシンジケートローンも組成するなど資金調達にも積極的な動きをしている。
 バブル時代から見て、地価は2分の1以下に下落したこともあって倉庫・物流センターなど物流施設の事業は有望と見込み、目ざとい外資企業が積極的に進出している。それにしてもその投資金額は6,000億円以上である。
 同社プロロジスパークの物流施設既存拠点と計画一覧は下記の通り。 

 

竣 工   施設名称   施設名称   施設種類   延床面積
(平方メール)
  設計・施工
【関東地区】                
02/09   新木場   東京・江東     1万9,676   フジタ
03/04   浦安   千葉・浦安     2万8,344   JEFシビル
03/09   成田   千葉・成田     5万1,095   フジタ
03/10   辰巳   東京・江東     1万2,926   JFEシビル
03/11   東京   東京・大田     7万4,238   フジタ
05/03    成田II   千葉・芝山     2万8,696   フジタ
05/03   加須   埼玉・加須     5万7,922   JFEシビル
05/06   横浜   横浜・鶴見     11万9,660   フジタ
05/07   杉戸I   埼玉・杉戸     5万8,918   釣谷建築
・西松建設
06/01   三郷   埼玉・三郷     4万7,784   フジタ
06/03   浦安III   千葉・浦安     6万9,000   竹中工務店
06/04   東京II   東京・江東     10万1,583   鹿島
06/   杉戸II   埼玉・杉戸     12万    
06/   越谷I   埼玉・越谷     未定    
                     
【関西・東海地区】                
04/07   東海   愛知・東海     3万2,313   清水建設
04/08   福崎   兵庫・福崎     2万6,033   清水建設
04/10   大阪   大阪・住之江     15万8,297   清水建設
05/   舞洲I   大阪・此花     9万3,078   清水建設
05/   大阪II   大阪・此花     17万0,592   未定
06/   舞洲II   大阪・此花     未定    
06/   舞洲III   大阪・此花     未定    


注)
施設種類のBはオーダーメードタイプの「ビルド・トゥ・スーツ」で、
Mは複数テナントが入る「マルチテナント」の略である。
プロロジスのURLは、
http://www.prologis.co.jp

 
 
   
 

<今月の雑感>
特許・実案権の取得は、本来の技術保持につながるか!
=公知の特許で長期に亘る特許係争に発展=

 

 

  特許とは、発明者の権利を守る唯一の手段であったが、昨今は違っていた。むしろ「特許申請、特許取得は公知することで、類似技術や模造品をつくる要因につながる」として、特許権や実用新案(実案)権を取得しないことが技術保護・製品防衛のひとつであると言われてきている。
  溶接副資材メーカーのA社が、同業B社(原告)の特許侵害2件、実案侵害1件の訴えによって、証拠保全命令によって販売および製造停止の処分が行われた。
  A社(被告)は直ちに東京地裁(一審)、東京高裁(二審)の争いで、特許侵害1件は勝訴するものの、特許・実案の2件は敗訴する。二審裁判官による和解勧告を退けた被告は、特許・実案権はすでに業界では公知の事実であると見解から特許庁に無効審判請求を起こし、特許庁審決では「原告の特許・実案権は無効」との冒人出願の判定を得たことで再度、東京高裁で争った結果、逆転勝訴となった。
  敗訴した原告側は、特許権無効を審決した特許庁に対して、訂正審判を起こしたが敗訴。さらに特許庁長官を相手に行政訴訟(東京高裁)で争ったが、これも敗訴する。
  原告側はいずれも敗訴が決定すると、A社勝訴を不服として最高裁に上告するといった想定外の行動にでる。しかし、社会的影響度の無い技術特許権などは最高裁で審理する事例はなく上告請求棄却となって、ここに被告の全面勝訴が決定する。実に6年以上に亘る法廷闘争であった。
  原告でなく、「原告側」と言うのは、B社(発明者・出願人)および弁理士・弁護士を指すためである。例えB社が(判定に)不服であっても、弁護士らは諌めかつ社会的通念に従うことを説き、納得させなくてはならない。いたずらに上告をさせることは裁判遅延につながるだけでなく、裁判費用にも影響する問題で、原告弁護士の適正を疑うものでもある。
  原告は証拠保全命令と同時期から、業界紙に「○○○○で特許取得 コピー製品には断固対処」の見出しで特許侵害記事を掲載し、「B社が実用新案取得 コピー品には法的措置も」と法廷闘争中にも記事を載せるなど独断的な姿勢が目立った。
  二審判決では「特許侵害裁判B社が全面勝訴 A社と損害金額の算定へ」との記事と、「○○○○特許侵害裁判 2件が現在係争中」の記事とその都度、必要以上の記事・報道が繰り返されてきた。
  最高裁棄却によって晴れてA社の全面勝訴になったが、業界紙・専門雑誌に対しては報道しないことで、自社の固有技術・製品の秘密保持をすることにした。「降り掛かる火の粉は振り払うだけでいい。顧客が求めるものは特許や実案でなく、優れた製品であり、使いやすく廉価な製品である。そして行き届いた技術サビース」と、A社社長は言い切っている。
  また、技術部長は「業界公知の技術を特許や実案として出願する企業を相手にこれ以上係わりたくない。(業界紙への)勝訴記事は一時の鬱憤晴らしはなるが、ユーザーには大した意味はないし、特許・実案権の無効で当該製品思っているほど売れるものでもない」との見解であった。   
  わが国の特許も先願主義(先発明主義)であるが、特許出願申請、特許・実案権許可になれば官報などに告知されることになる。しかし、特許を微妙に避けた技術・製品を創ることも可能な時代、必ずしも特許・実案権が、製品・企業防衛につながらないようである。