QCC ニュース (2006年1月5日号)
 
     
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大規模小売店舗法の改正は時代に逆行
大型ショッピングセンターの進出相次ぐ

 

 

  大規模小売店舗法(大店法)の規制緩和から大都市郊外・地方都市に大型ショッピングセンター(SC)の進出・計画がここに来て規制・見直し策が検討されてきている。その主たる要因は、小売専門店による商店街のシャッター通化するとの危惧からである。米国による内需喚起といった外圧で大店法が施行以来、モーターリゼーションもあって続々と大型SCが出現したことでショッピング形態が大きく変革したことは事実。
  この傾向は、マイカーや大型冷蔵庫の普及が生鮮食料品や冷凍食品の買い溜め、家族による飲食やショッピング、映画鑑賞といった複合した目的が大型SCにシネマコンプレックス(複数映画館)、アミューズメント施設を備え、週末・休日をエンジョイすることからますます増えてくるようである。
  大店法規制は延べ床面積1万平方メートル以上としているが、大型スーパーマーケットのイオングループ、セブン&アイホールディングをはじめホームセンター、家電量販店、ショッピングモール運営会社はこぞって反対しているだけでなく、消費者層の反対の声も大きい。
  小規模小売店を護るのはむしろ大型SC規制でなく、高齢者と小売店とのコミュニケーションとの取れる優しい街並みづくりである。その代表が車椅子でもショッピングができるバリヤフリーの商店街、何でも揃う専門店、少量販売や配達する野菜・酒店、子供が安心して遊べる空間づくりから地域ニーズ収集するため商店街組合との交流の場づくりなどである。
  大型SC対商店街といった短絡的な図式で規制したり緩和したりすれば、小売店業界と消費者の間に大きな溝ができ、内需拡大の傾向に水を差す結果になる。共存できる道を探るべきである。
  ちなみに、昨年の6月−12月に公表された延べ床面積1万平方メートル以上の大型店舗は下記の通り(物件工事名・建築主=建設地、構造・延べ床面積/単位平方メートル)

ミドリ電化稲田三島店(ミドリ電化)=東大阪市、S造・4階建て、55,938
南柏ショッピングセンター(イオン)=柏市、S造・7階建て、100,000
テックランド徳島藍住店(ヤマダ電機)=徳島市、S造・3階建て、13,000
BiVi沼津(大和工商リース)=沼津市、S造・6階建て、15,835
ベスト電器新香椎店(ベスト電器)=福岡市、S造・3階建て、17,618
イオン伊都ショッピングセンター(イオン九州)=福岡市、S・RC造・7階建て、81,321
ダイヤモンドシティ鶴見SC(ダイヤモンドシティ)=大阪市、S造・5階建て、148,000
東京インテリア家具幕張店(東京インテリア家具)=習志野市、S・SRC造・4階建て、37,335
ダイヤモンドシティ新瑞穂SC(ダイヤモンドシティ)=名古屋市、S造・4階建て、153,000
テックランド丸亀店(ヤマダ電機)=丸亀市、S造・3階建て、13,800
ニューポートひたちなか店(ジョイフル本田)=ひたちなか市、S造・2階建て、125,091
ニトリ西成店(ニトリ)=大阪市、S造・7階建て、21,735
美濃モガモール(大和システム)=本巣市、S造・3階建て、115,726
BOXタウン箱崎(ダイワロイヤル)=福岡市、S造・4階建て、20,420
上里ショッピングセンター(イオン)=埼玉県、S造・3階建て、23,428
郡山駅東複合商業施設(サンシティ)=郡山市、S造・2階建て、28,760
ららぽーと横浜(三井不動産)=横浜市、S・RC造、6階建て、226,669
ホームセンター東灘店(カインズ)=神戸市、S造・4階建て、30,000
浦和美園ショッピングセンター(イオン)=さいたま市、S造・4階建て、134,243
柏の葉キヤンパス駅PJ(三井不動産)=柏市、S・RC造・4階建て、36,400
大洗リゾートアウトレットモール(八ヶ岳モール)=茨城県、S造・2階建て、16,000
イトーヨーカドー西新井SC(セブン&アイH)=東京都、S・SRC造、6階建て、107,300
大日ショッピングセンター(イオン)=守口市、S造・4階・5階建て2棟、173,300
イトーヨーカドー鳳SC(セブン&アイH)=堺市、S造・4階建て、141,700
イトーヨーカドー八尾SC(セブン&アイH)=八尾市、S造・3階建て、18,000
イズミヤ港島店(イズミヤ)=神戸市、SRC・S造・2階建て、22,843
テックランド高松春日店(ヤマダ電機)=高松市、S造・3階建て、14,197
乙窪ショッピングセンター(イオン)=野洲市、S造・平屋建て、20,100
札幌手稲山口ショッピングセンター(イオン)=札幌市、S造・平屋建て、19,848
SPモールけやきウォーク前橋(ユニ)=前橋市、S造・4階建て、96,870
キガスケーズデンキ堺店(キガスケーズデンキ)=堺市、S造・2階建て、11,801
日高ショッピンクモール(ベイシア)=日高市、S造・2階・平屋建て3棟、25,424
神戸モガモール(大和システム)=神戸市、S造・3階建て、43,738
ゆめタウン佐賀(イズミ)=佐賀市、S造・3階建て、105,400
大型複合商業施設(東芝不動産)=横須賀市、S・RC造・5階建て、19,429
ダイヤモンドシティ武蔵村山SC(ダイヤモンドシティ)=武蔵村山市、S造・5階建て、177,000
港北NT共同商業施設再開発計画(三菱地所)=横浜市、S・RC造・6階建て、66,000

 
 
   
 

<今月の雑感>
改正基準法の性能規定問題がクローズアップに
罰則規定を含め建築基準法の見直しか!

 

 

  RC造マンション、ビジネスホテルの構造設計偽装事件によって、俄然、建築の「構造設計」「構造技術者」分野がクローズアップされた。日本建築学会、日本建築士会連合会など建築設計団体に次いで構造技術者で組織する日本建築構造技術者協会(JSCA)や、その団体資格の「JSCA建築構造士」の存在が明らかになになり、偽装事件によって「カゲの技術者」と言われてきた構造設計の重要性、構造設計者の役割の大きさを公知させてくれた。
  今回の事件で、マスコミが報道していない問題がひとつだけある。それは、改正建築基準法(2000年6月1日施行)の「性能規定」の問題である。性能規定化によって設計の自由度が高まり、一見設計者の裁量権に幅ができたかのように感じるが、意外や以外に評判は芳しくないのである。
  施行2年目から構造設計者から不満の声が寄せられている。「材料関係の規定が厳しくなった」「運用に弾力性がない」「国土交通省は法令改正に当たり、民間の意見を尊重してない」など性能規定が中途半端なため、不心得な構造設計者を生む温床をつくった感がある。姉歯元構造設計者の構造設計偽装はまさに「彼、独断の性能規定」であったといえる。23年(大正9年)12月に市街地建築物法が制定され、50年(昭和25年)11月に建築基準法が制定、71年(同46年)第一回改正、81年(同56年)6月第二回改正、そして第三回改正である。パッチワークのような建築基準法のため、随所に矛盾したものがある。
  ある識者は「建築基準法の役割は75年ごろで使命を終えている。それを改正、改正で基準法を守ってきたことが、むしろ設計の自由度を疎外し、おかしな法律になっている。今の建築基準法を廃止し、『建築基本法』をつくった方がいい」と、建築基本法を立案するといっている。また、ある国会議員は「今の建築基準法では新しい技術が出にくくなっている。法37条が改正され、38条が削除された。そして37条のしばりを強化したことだ。37条が規定する材料でJIS、JAS以外はすべて大臣認定が必要にしてしまったことだ。この仕組みが問題になっている」と指摘する。
  一方、著名な構造設計家は「一般の構造設計者の質を高めるには建築基準法の罰則を強化し、構造計算を間違えたら懲役刑に処する。法的罰則が厳しくなれば、構造設計者は慎重に計算し、思量深くなる」と語っています。デタナメな構造計算をして、生命・財産を脅かして罰金50万円以下の罰則では25年30年を4,000万〜6,000万円のローンを支払っていくマンション被害者の気持ちは収まらない。
  17日の国会証人にシューザー・小嶋進社長が出席し、喚問に応じることになっている。小嶋社長は昨年11月29日の衆議院・国土交通委員会の参考人の時も、国交省・行政、指定確認検査機関に対する責任を声高に指弾し、建築主としての「経済設計」を主張していた。経済設計イコール要求設計であってはならないが、建築主の要求に応えようとすれば、性能規定の拡大解釈も考えられる。
  姉歯元構造設計者が「要求性能と受け取って、性能規定での構造計算だった」と開き直ったら。また、小嶋社長が前回の参考人で「確認済証という神聖な公文書をまったく疑うことなく着工した」と強弁しただけに、今度の証人喚問では性能規定の盲点や矛盾を突いた論法で責任回避をしてくるだろう。その時、国交省官僚の答弁に活目したいものがある。