QCC ニュース (2006年4月5日号)
 
     
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都内100メートル超ビル竣工06、07度とも28棟
=都都市整備局・建設状況調べ=

 

 

  東京都都市整備局の調べで、都内で高さ100メートルを超える高層ビルは06年、07年度ともそれぞれ28棟の竣工することを発表した。
  同局がまとめた高さ100メートルを超える大規模ビルの過去の建設状況を年度別にみると、2000年度14棟、01年度9棟、02年度23棟、03年度19棟、04年度20棟、05年度21棟の推移になっているので過去最高の棟数になる。
  06年度、07年度竣工予定の高層ビルは次の通り(プロジェクト名、高さ、延べ床面積の順)。

<06年度竣工予定>
▽芝4丁目開発計画(住宅棟)カテリーナタワー(121=8万2,000)▽飯野・日土地共同ビル(112=3万5,000)▽白河・三好地区再開発ビル(116=5万7,700)▽九段北プロジェクト(111=5万8,700)▽虎4計画住宅棟(153=3万8,800)▽TAビル(147=10万5,200)▽豊洲駅前地区再開発ビル(144=6万4,400)。
▽銀座イースト計画(119=3万9,200)▽虎4計画事務所棟(112=5万9,700)▽三田3丁目計画(176=9万8,500)▽港南3丁目タワー計画(108=2万4,600)▽富士ソフトABC秋葉原ビル計画(146=5万8,600)▽神宮前2丁目計画(127=2万8,500)▽九段第3合同庁舎・千代田区役所本庁舎(104=5万9,800)。   
▽衆議院赤坂議員宿舎(101=6万3,600)▽南青山1丁目団地建替えプロジェクトN棟(172=5万9,600)▽芝浦アイランドA1街区(169=8万5,100)▽同A2街区(168=9万8,700)▽同南地区(160=14万)▽港南4丁目住宅団地B棟(139=6万5,400)▽同C棟(139=8万4,000)▽神宮前計画(117=4万3,200)▽臨海副都心台場H街区建築計画(108=7万5,900)。
▽東京ミッドタウンプロジェクトC棟(100=5万7,700)▽同B棟(113=11万6,700)▽同ADE棟(248=38万5,500)▽東池袋4丁目地区再開発ビル(145=6万1,300)▽西池袋3丁目計画(116=3万5,600)の28棟。

<07年度竣工予定>
▽東京キャナルコート・アップルタワー(139=6万1,100)▽JR東日本東京駅日本橋口ビル(166=7万8,400)▽新丸の内ビルディング(197=19万5,400)▽東池袋3丁目住宅プロジェクト(134=4万5,300)▽芝1丁目計画・クレストフォールム芝タワー(136=4万9,900)▽大崎西口開発計画(140=15万2,000)。
▽東京駅八重洲口開発計画(205=14万0,100)▽東京ベイサイドリゾート開発計画(100=6万3,000)▽日比谷パークビル建替え計画(111=5万9,500)▽台東1丁目プロジェクト(124=3万3,800)▽八重洲1丁目計画(103=4万5,400)▽日本閣再生プロジェクト(106=3万7,000)。
▽上大崎4丁目計画(114=2万5,200)▽日本橋人形町1丁目地区A街区(141=3万5,700)▽有楽町駅前第1地区再開発ビル(107=7万5,800)▽TTPプロジェクト(167=9万9,800)▽勝どき6丁目地区再開発S棟(186=19万8,700)▽同N棟(187=18万4,000)▽赤坂5丁目TBS開発A1業務棟(179=18万7,100)。
▽Dグラフォート清澄白河(117=1万7,400)▽市谷本村町マンション計画(111=6万4,400)▽豊洲2丁目7街区計画B(111=6万4,400)▽同A(175=12万0,900)▽菱和西新宿6丁目計画(159=6万3,900)▽汐留1−2街区事業系複合ゾーン開発計画(133=11万8,400)▽東雲キャナルコートH街区(138=5万2,400)▽代々木ゼミナール代々木2丁目プロジェクト(134=2万7,200)▽ロイヤルパークスタワー(131=5万6,800)の28棟。

 
 
   
 

『CE建築業界』誌で藤原正彦氏・山本卓朗氏が対談
公共投資で美しい国土づくりを提唱
都市景観は電柱の地中化と看板撤去から

 

 

  ベストセラー『国家の品格』(新潮新書・藤原正彦著)が団塊世代以上の心ある人々の間で話題になっている。「人の、国家の品格は、美しい情緒(心)と形(体)より発する」とし、その原型を「武士道精神にある」としている点に共鳴している。
  この藤原正彦氏(お茶の水女子大学教授)が、社団法人日本土木工業協会機関誌『CE建設業界』3月号で、山本卓朗(同会副会長・広報委員長)と「これでいいのか日本」土木は日本を美しくするチャンピオン−と題しての対談しているので、紹介したい。
  冒頭、藤原氏は「日本人の美的感受性、特に自然に対する繊細な美的感受性は世界でもずば抜けていて、その感受性を育てたのは、ひとえに風光明媚な国土にあると思っています」と国土の美しさ、そこに住み暮らす日本人の温和で奥ゆかしい民族性が世界に冠たる文学や数学を生んできたと指摘し、公共投資によって「今やるべきことは、美しくすることにお金をかけ美的感受性を取り戻すことです。そのことがひいては経済活力、経済復興にも寄与するのです」という。
  藤原氏の美しい国土づくりのひとつに都市の在り方で「東京で言えば、少なくとも23区内の電線・電柱くらいは全部地下に収納(埋設)すべきです。それから氾濫する看板の規制。くれくらい出来ないで、何で世界第2位の経済大国かと言いたくなります。あるいは高速道路、特に都市内の高速道路はお粗末で、低速道路です。こちらから料金を貰いたいくらいです(笑)。美しい街並みを取り戻すには『自由の規制』です。今は『規制緩和』の大合唱のもと、まさに勝手的な自由が垂れ流されています」と、景観を左右する建築物や土木構造物に関してはもっと規制を強化すべきと、辛辣に言い切っている。
  都内の下水道化が100%になった今、次は電線・電柱の地中化事業であるが、都心のメーン道路では進んでいるものの、本通り一歩入ると電線ケーブルが空を覆っている。
  山本副会長は「国土交通省の直轄事業によって電気やガス、通信、上下水道などを地下の共同溝にまとめて収納しようという事業が進められています。因みに東京23区内の電力線に関する地中化率は43%(平成13年時点、東京電力発表)を超えて徐々にすすみつつあるようですが、しかしまだまだの感はあります」と、データによる実態を披瀝。しかし思っていたより高い比率である。
  山本副会長のデータによれば、世界主要都市の地中化率(1977年データ)で、ロンドン100%、ベルリン99.2%、パリ100%、ニューヨーク72.1%。ローマのデータはないものの「電線・電柱は見たこともない」というので、100%といっていいだろう。
 藤原氏は「わが国の最新テクノロジーであれば、移設や改築は難しいことではないでしょう?あの高速道路は景観的には国辱的なものである」と、電線・電柱、看板、高速道路が都市美観を損ねている要因と指弾。そして「こういう課題は国の、自治体の責任者がその気にならないといけない。そういう人たちの首根っこを掴まえて説得し、(笑)選挙で公約してもらう。それが一番ですね」と、自治体首長のやる気を促す。
  日本人が品格・品性を失った要因を、藤原氏は「戦後、連合国軍による日本の占領政策を司る機関としてはGHQ(総合司令部)が置かれ、それによって日本の伝統文化や歴史感を徹底的に否定されました。一方で、ソ連のコミンテルンの指導を受けて動いた日本共産党の支配下にあった日教組(日本教職員組合)も、教育の現場でアメリカと同じように日本の伝統文化や歴史史観をことごとく排斥しました。アメリカとソ連が一緒になって日本の教育を変え、日本の良さことごとく消し去ろうとした」と指摘。そのため美的感受性までも無くなったと語り、藤原氏は最後に「新しいものをどんどんつくっていこうということでなく、まず醜いものを片端から除去していく。まず、世界でもっとも醜い都市である東京から、それをやってほしいですね」と結んでいる。
  作家・新田次郎氏の子息である藤原正彦氏が失われつつある日本人の情緒と武士道精神の一端を披露した対談である。


*「CE建設業界」は日本土木工業協会の機関誌ですが、読みやすく、写真・イラスト・レイアウトが素晴らしく、しかも安価。土木関係者でなくとも楽しめる誌面構成です。
今回の藤原氏・山本氏の対談は15頁にわたっていますので、ぜひご購入されることをお奨めします。

    雑誌名=CE(Civil Engineering)建設業界(volune55.2006)3月号
    体 裁=B5判・64頁(縦組み)
    発行所=社団法人日本土木工業協会/ほか
    定 価=400円(1年分送料共4,800円)
    申込先=104-0032東京都中央区八丁堀2‐5‐1
    電 話=03‐3552‐3201

 
 
   
 

<今月の雑感>
鋼製橋梁競争入札が低価格で悲鳴
90数%から50%台受注で原価確保が困難に

 

 

  鋼製橋梁談合事件後、鋼製橋梁業界のファブリケーターは悲鳴を上げている。本四架橋建設ピーク時に80万トンを誇った需要量も現在では30万トンを割っている。需要の大幅減はもとより、競争入札での超低価格受注が業界存続の危機に直面している。
  本四架橋3ルート建設など世界に冠たる長大橋を建設した橋梁技術は、官(国土交通省、公社・公団)民(ゼネコン、橋梁ファブ、鉄鋼メーカーの業界団体)結晶の成果であった。その緊密さと建設目的や技術共有が相次ぐ長大橋プロジェクトにつながり、その背景には官民協調(官製談合)で支え合っていた。
  そのため建設予算額の90数%から98、99%の落札率を維持できた。同じ鋼構造分野での船殻ブロック、建築鉄骨との比較をすれば2〜3倍の高単価(トン当たり50〜60万円)になっていた。指名停止ファブが稼働率を取り戻すため受注単価は極端に減少し、60〜70%の落札率になっている。中には50%台の原価割れ価格で受注していると内情を明かす橋梁ファブ幹部もいる。
  「現在、指名停止処置のファブが解除され、入札に参加してくれば一段と厳しい価格競争が予想される。仕事をしてもしなくとも工場管理コストは掛かる。だったら少しでも管理コストを稼ぐには安くても稼働させる。技術や技能維持にも役立つと考えるのも当然だ」と吐露する。官民蜜月から一気に戦国時代に突入の観がある。
  一方、指名停止と需要減少から撤退していた建築鉄骨に再度参入をするファブも何社か現われ、また大型船の接岸ができるバースを持つファブは(造船所の下請けとして)船殻ブロック建造に進出するなど多角化を模索している。
  こうした異常事態を業界幹部はどのように観ているか「(談合事件で)業界秩序が乱れていることは確かだが、この状態は一時的な現象で、長く続かない。(業界安定への)ショック療法と思えばいい。われわれの危惧はむしろPC橋梁に食われ鋼製橋梁の減少にある。健全な橋梁技術を保つには30〜40万トンを確保したい」とやや楽観的な観測をもっている。
  民間会社になった道路会社の経営幹部は「小さな政府を標榜し、民間にできることは民間にの掛け声が、業界の根底を揺るがす問題に発展しただけ。発注者側としては経営的にも技術的にも何ら問題はない。安ければ良いとは思っていないが、競争原理とは過酷なもの。道路会社も同じである」と、ひたすら業界への同情心と競争原理を強調している。
  国土交通省道路局など関係官僚のコメントは取れなかったが、高速道路会社と鋼製橋梁会社との民・民間の入札・契約問題には関知しない、と言った返事しか返ってこないと思われる。
  「地震大国・日本」の道路・鉄道・橋梁・トンネルの耐震性、耐久性がなくては安心・安全でない。単に安い・高いだけの入札契約であっては、美的受感性が薄れ、風光明媚な国土も寂れるばかりである。