QCC ニュース (2006年10月5日号)
 
     
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海外鉄骨が鉄骨需要の5%を占める時代に!
韓国ファブ撤退後、タイ国ファブに次ぎ中国も参入

 

 

  わが国の鉄骨建築物(S造・SRC造)は、ここ数年700〜730万トン台で推移している。高層・超高層建築の躯体はS造が主体だったものが複合施設化ビルによって、店舗など商業施設、事務所など業務施設のほか上層階にホテル・マンションなどの居住施設を設けたことからRC造のウエートが高まっている。
  一方、低層建築のS造物件では大型複合ショッピングセンターや配送センター・物流倉庫施設、電子・自動車関係の大型工場など大スパンの大規模建築が需要を伸ばしている。
  都心の再開発ビルなど高層・超高層ビルの鉄骨を海外ファブリケーターで製作した鉄骨が採用されて久しい。一時期、韓国の著名な重工業が製作した輸入鉄骨が話題になったが、韓国の経済発展が人件費高になり撤退を余儀なくされた。その後タイ国のファブ・M社(アユタヤ市)が大手ゼネコンの採用もあって国内ファブと提携し、積極的に進出している。その数量は年間3万5,000トン以上にのぼる。
  国内製作量約700万トン。その内、輸入量が約3.5万トンとすれば輸入率は0.5%であるが、その影響は国内の鉄骨価格を微妙な波及効果を与えている。
  かつて超高層鉄骨を引き受けていた橋梁ファブや造船・重工業ファブは、価格低迷や需要減によって鉄骨部門の閉鎖・撤退したことから、高層・超高層建築の鉄骨製作の主体は一部Sを中心にH・Mグレードの中堅ファブ数社の分割発注が主流になっている。
  分割受注するファブ群にタイ国・M社が参入。梁鉄骨の実績を重ね、昨今では四面ボックス柱鉄骨まで製作するなど国内ファブ同等の受注活動を展開している。この輸入鉄骨現象を見た大手K社ファブが中国ファブへ委託製作(下請け)策を検討している。
  中国の鉄骨製作技術は、まだまだ黎明期であるものの毎年大規模ファブが出現し、年間10万トン規模ファブが十数社存在し、この数年で年間製作量2,000万トンに届く勢いである。その大規模ファブの内、浙江省紹興市のS社は年間12万トン程度の能力がある。また、江蘇省無錫市のF社も年間規模15万トン以上のファブ。この2社で製作する鉄骨を輸入する計画が進められているのである。
  この鉄骨輸入計画では、国内にストックヤードや合番作業(建て方手順)をはじめ誤作修整、設計変更による追加製作などに対応するため、廃業した中堅ファブ工場を技術・技能者を含めて買収する方向で動いている。
  こうなると、輸入鉄骨比率は0.5%から5%超へと拡大し、「鉄骨価格(コスト)は輸入鉄骨次第」と言われほど影響力を持つことになる。
  今や中国の粗鋼生産は4億トンに迫る勢いである。中国政府は「鉄骨建築は鋼の備蓄資源」との政策から鉄骨建築を奨励するによって、ファブ業界は規模拡大の一途である。その中国製鉄骨が「日本の鉄骨市場に上陸する時代が目前に迫りつつある」と思うと、鉄骨市況動向はもとより、鉄骨鋼材・副資材など関連業界にとって大いなる脅威でもある。グローバル化した社会に輸入規制は難しいものがある。むしろ品質基準を強化するしかない。

 
 
   
 


SRC造建築物、この10年間で3分の1に減少
高コスト、施工性からRC造、S造に転化傾向

 

 

  鉄骨建築に日本独特の「鉄骨鉄筋コンクリート造」がある。柱・梁鉄骨躯体に鉄筋を巻き、型枠で囲みコンクリートを流し込む構法で、一般には「SRC造」と呼称されている。このSRC造建築がこの10年間で半分以下に減少し危機的状況下に直面している。
  平成8年度では、S造・SRC造建築約1,029,800トンの内、S造は約9,313,700トンで、SRC造は約983,800トンと鉄骨造全体に占める比率は約9.6%であった。翌年以降3年間も10.6%、10.1%、11.3%をピークに達した後減少に推移し、10年後の17年では、S造約6,932,800トン、SRC造約233,950トンの3.3%と3分の1以下に減少した。
  全鉄骨建築は、8年度の約1,030万トンから14年度の670万トンと65%まで減少したものの、この10年平均では約780万トンである。ちなみに17年度は7,167,750トンと減少している。
  では、SRC造の今年度5ヵ月間の実績をみると、4月=S造約618,100トン、SRC造約31,650トン(4.9%)、5月=S造約583,100トン、SRC造約38,650トン(6.2%)、6月=S造約620,400トン、SRC造約22,150トン(3.4%)、7月=S造約626,600トン、SRC造約21,250トン(3.3%)、8月=S造約658,900トン、SRC造約19,400トン(2.9%)で、5ヵ月間の平均で4.1%と若干回復したが、それでもピーク時の半分以下である。
  SRC造が減少した要因は、<1>鉄骨に替わって、太径鉄筋を使用するRC造への転換と、<2>高強度コンクリートの出現による強度向上、<3>コンクリート混和材による速乾性など工期短縮、<4>建築鋼材の高騰と入手困難――が大きな要因になっている。
  建築構造関係者によると「SRC造鉄骨はディテールが難しく、若手設計者は敬遠する傾向にある。また、鉄骨と鉄筋構造との工程監理が複雑なため工期管理にも問題がある」と指摘し、「鉄筋工と型枠工さえ確保できればRC造は簡単で、しかも施工コストが大きく違ってくるので、ゼネコンからはRC造かS造に何れかを選択してくる」と、SRC造の優位さは聞かれない。
  自社ビル・オフィスビル、銀行・証券会社ビル、病院・ホテル・高級マンション、文化会館や図書館など公共施設にはSRC造が多く採用されていたが、そうしたビルや施設にもS造とRC造の二極化が進んでいる。前述の構造技術者は「SRC造鉄骨ディテールや標準構造設計などを簡略し、施工性を図りながらSRC造建築物の利点を生かしていくことが必要」と訴えるが、日本建築構造技術者協会など構造専門技術者らの英知が求められる。

 
 
   
 


首都高速道路の入札で最低価格を落札拒否
調査基準価格の設定によって応札価格決定

 

 

  過当競争が背景にあって技術革新による新製品開発、コストダウンなどが図られる発奮材料にもなるが、他方では苛烈さを増し品質確保ができない低価格によって消費者や国民の生命・財産を脅かす製品や構築物をつくりかねない要素も含んでいる。
  ここにきて、福島県における公共事業の談合問題で騒がれている。談合問題は過当競争と表裏一体の現象でもある。適正価格(予定価格)を維持しようとすれば業界協調の談合に発展する。一方、税金の有効活用として発注額を下げようとすれば熾烈な価格競争になる。入札・応札制度はその挟間の上を歩いている。
  民間会社になった首都高速道路Mは、この入札問題で苦悩している。今年6月入札の橋脚工事(専門呼称は、SJ14工区B・D連絡路(2)上部・橋脚工事)で、最低の応札価格を投じた企業の落札を認めないことにした。
  この工事の予定価格は10億2,025万3,000円。最低価格は7億6,810万円の約75.3%。低価格調査対象のため審議した調査基準価格は8億2,115万3,200円でも最低価格は93.5%であったため認めないこととした。結果、9億7,000万円(予定価格の95%、調査基準価格の18.1%増)の企業が落札した。
  首都高速道路は、「品質確保するには十分な費用を適切に見積もられているとは言い難く、トラブルなど発生時に工程確保が十分な措置を取れるかが懸念される」と品質と工程確保が十分に取れる価格設定が望ましいことを前提にしている。
  落札を拒否された企業の入札価格にいて、 <1>時短・無人化による生産効率化を発揮できる企業規模 <2>役員人件費の削減や一般管理費コストの縮減が可能 <3>受注量の一定以上確保が雇用安定、協力業者の維持が経営上不可欠 <4>手持ち工事量は10件以上あるが、本工事の現場管理費などの節減評価対象ではない――との見解を述べている。
  最低価格企業は企業努力で十分対応できる価格と言っているが、それでも発注する首都高速道路は安心できないから「この基準価格に近い受注価格」との妥協価格を設定したことに注目したい。
  予定価格10億2,025万3,000円に対して、調査基準価格8億2,115万3,200円。その差額は1億9,909万9,800円(予定価格の約20%減)と最低価格の7億6,810万円(同約25%減)。そして受注した応札価格9億7,000万円(同約5%減)である。
  このほか、成田空港Mの「国道51号切り替えその他工事」の一般競争入札で、予定価格77億5,090万0,344円に対して、最低価格が36億6,975万円だった。同社は応札価格を保留にした。入札制度の抜本的改革が始まりつつある。