QCC ニュース (2006年11月5日号)
 
     
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建築業界に吹き荒れるダンピング受注の解決策
最低価格制度の導入と入札ボンド制度の徹底化

 

 

  著しい低価格で受注する、ダンピング競争が建設業界に起きている。公共財的な構築物を請負契約で施工する建設業界にとっては、市場原理だけに任せておけない問題とダンピング受注によって建設業界の秩序はますます乱れていくことになる。
建築専門紙によると、「公共工事の低価格受注問題をめぐり、渡辺具能国土交通副大臣の発言が、国交省内に波紋を広げている」と指摘している。ことは、先月5日に行われた就任記者会見で渡辺副大臣は「最低価格制度の導入も検討したい」とダンピング受注への対策として入札に最低制限価格を設けるべき、との考え方を示した。
  公共事業は、会計法によって、工事入札は低入札価格調査制度が原則で、一定金額を下回る応札を無条件で失格にする最低制限価格制度は採用できない。このところのダンピング競争が激しく、手詰まり状態の中で飛び出した渡辺副大臣の発言だが、国交省内部の評価や対応は極めて冷ややかで、副大臣の意図が果たして実現できるのか危惧されている。
  一方、日本の公共工事にも入札ボンド制度が導入されだした。この入札ボンド制とは、「入札参加者が入札行為を撤回した場合、発注者が被る損害の補填を保証する制度」として米国で普及しているが、日本にもうこした制度がないわけではない。会計法に設けられている入札保証金制度がそれだが、現在は入札者にその納付を免除、運用されていない。
  国交省がまとめた日本の入札ボンド制度は、損保会社が発行する入札保証保険や金融機関・保証事業会社の契約保証(履行保証)の予約証書などを入札ボンドとして扱い、これを入札保証金制度に活用することで導入する。具体的には、入札保証金の納付を免除する運用を改め、納付を原則化したうえで、入札ボンドの提出があれば、入札保証金の代替にするという仕組みである。
  これにより、入札参加者は入札価格の5%の保証金納付かボンド提出が必要になる。実施要領によると、ボンドの提出時期は競争参加資格申請時で、入札価格に比べ保証金部分に不足が生じると失格になる。また、保証金部分の金額については二倍以内、提出後10日以内であれば、ボンドの変更を認める方針。
  国交省は、この入札ボンドを、当面一般競争入札案件の大規模工事を対象に採用する方針で、今年度に10件程度実施する予定である。この制度により、@履行能力が著しく懸念される業者、施工の実態のないペーパーカンパニーなどの排除A与信枠の設定による過大な入札参加の抑制Bダンピング受注に対する一定の抑止――などの効果を期待している。
  ボンド保証制度は、1996年10月1日から実施した日本旅行業協会(JATA)が導入している。加入旅行会社は、年間海外旅行販売計画額の1%相当額をボンドに差し入れする義務付けによって、不測の事態に対応する制度である。
  50兆円を超える建設業界に、国交省の入札ボンド制度の徹底か、副大臣の提唱する最低制限価格制度の導入かによってダンピング受注の抑止に繋がれば納税者も納得すると思われる。

 
 
   
 


蔓延するISO認証 国内取得件数4万2,000超
技術退化を警鐘する毛利利衛・元宇宙飛行士

 

 

  国家資格の「技術士」で組織する社団法人日本技術士会の創立55周年記念講演で、元宇宙飛行士の毛利利衛・日本科学未来観館長は「ISO900sやISO14000などの認証を安易に取得し、その認証レベルに合わせてはいけない。わが国の技術レベルは国際基準以上に高いのだから、ISOなど低い国際基準に合わせたら、優れた技術が退化する」と語り、日本の技術士に熱いエールと技術立国をさらなる発展のためにISO信仰に警鐘を促した。
  イギリスのBSI規格を核に1947年2月、欧州諸国を中心としたISO(国際標準規格=中央事務局・ジュネーブ)を確立し、現在の規格項目は1番「ねじ」から229番「ナノテクノロジー」のさまざまな分野の規格を設けている。その規格統一の他に、品質管理システムを一定の審査登録機関が検査した上で認証するISO9000s認証が欧州から東アジア諸国にまで熱病のように蔓延している。すでに156ヵ国・地域が何らかの形で加盟している。
  わが国では、輸出製品である電力発電・化学プラントから造船、重機などのISO認証取得を契機に増加し、昨今では輸出製品に関係なくISO認証取得が企業のステータスになっている。そのためJIS(日本工業規格)よりもISOが統一規格のように思われている節があり、由々しき問題でもある。
  建設業界は、海外プロジェクト受注の関係からISO認証取得の必要性もあるものの、国内プロジェクトにおいても電力会社など主力発注者が応札条件にISOを導入したことから中堅から地元建設企業にいたるまで建設業界のISO取得熱を一気にヒートアップさせるだけでなく、輸出製品でもない鉄骨製作会社など協力業界にも波及し、ISO認証が「品質の良し悪し」を決める基準のように思われている。
  ある大手ゼネコンの技術士は「ISO認証は、アングロサクソンが考えた究極のねずみ講である」と指摘していたが、毛利館長の「技術レベル退化論」も同じと言える。
  一体今まで、ISO認証に使った費用とサーベー費用を合わせたら膨大な金額がISO中央事務局に送られている。ISO9000sでは3万2,000件、ISO14000(環境マネージメントシステムに関する規格)は1万件以上の認証取得し、昨今では地方自治体らが率先して取得をめざし、所管地域の工事入札条件にさえ加えているから摩訶不思議である(国交省は04年度からISOを入札条件から外している)。
  宇宙から地球を観て来た毛利館長の言葉を重く受け止め、日本の技術者は自信を持って「ISOを越えた技術・規格をめざせ」と言いたい。

 
 
   
 


多摩広域基幹病院及び小児医療センター
国内最大規模のPFI事業に清水建設が契約

 

 

  清水建設はPFI(民間資本による社会資本整備)としては国内最大規模となる仮称「多摩広域基幹病院及び小児総合医療センター」事業を開始する。このほど清水建設が設立した特定目的会社の多摩医療PFI(東京・港区、資本金5億円)が東京都と事業契約を結んだもので、契約額は約2,490億円。
  同事業は、東京都府中市に建設されるもので、都立府中病院を基幹病院に、清瀬・八王子・梅ヶ丘の小児科病院を統合し、2病院を一体整備するもの。
  病院本体施設、職員宿舎などで構成され、病院棟は地下1階・地上11階建て、延べ床面積約12万6,000平方メートル。ベッド数1,350床。免震構造を導入した最新医療施設となる。
  07年春に着工し、09年に完成する予定。完成後の所有権を東京都に移管するBTO方式で、10年3月の開業から25年までの15年間の運営・維持管理をSPCが行う。
  清水建設のPFI事業は今回の多摩広域基幹病院および小児医療センターを含め15件となり、総事業費約4,400億円に達している。