QCC ニュース (2006年12月5日号)
 
     
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「指定構造計算適合性判定機関」の判定員不足が深刻な問題に
構造設計・設備設計一級建築士の人材確保にも不安

 

 

  耐震強度偽装の発覚から1年経過した。多くのマンション住民を不安に陥れただけでなく、建築行政の信頼性を大きく失墜させた事件でもあった。特に、1999年から始まった指定建築確認検査機関制度による建築確認・検査の民間開放がマイナス要因として指摘されてきたが、事件発覚後も受注件数を増やし続けている。
  国土交通省は「民間検査機関は信用力低下で、受注件数は減る」とみていたが、行政庁も偽装を見過ごしてしてきたこともあり、民間検査機関は「存在を知られ、認知された」こともあり、予想に反して受注件数が増えている。
  偽装事件で危機感を覚えた民間検査機関は、ゼネコンや設計事務所の退職者構造技術者を採用するなど積極的に検査技術担当者を増やし、見逃し防止策を取ってきたことが奏功していることもある。
現在の民間検査機関は、業務エリアが広い国交相指定が16機関、地方整備局・都道府県知事指定109機関があるが、大半は受注件数を増やしているものの建築基準法改正などに対応するにはハードルが高くなりつつある。
  一方、国交省が進めている建築基準法や建築士法の改正を始とする制度改革で、指定構造計算適合性判定機関や、新たな構造・設備建築士不足が深刻な問題となってきている。
  RC造、20メートル超など、一定の高さの建築物については、知事指定の「指定構造計算適合性判定機関」による構造計算のチェックを義務付け、3階建て以上の共同住宅への中間検査の義務付けなどを盛り込まれたが、その実務に当たる判定員の確保が難しい。
  構造計算の審査が必要になる建築確認申請は、年間6、7万件あることから、最低でも1,500人以上の判定員が必要と試算しているが構造設計者が不足しているため、実現が難しいとされている。国交省が実施した調査による05年度末現在の一級建築士登録は約32万2,200人。このうち構造設計従事者は4%(12,890人)、設備設計従事者は1.1%(3,540人)に過ぎない。
構造設計者が加盟している唯一の団体である日本建築構造技術者(JSCA)協会会員3,566人、準会員135人。このうち団体資格である「建築構造士」を取得された構造設計者は2,530人(05年4月現在)。個人設計者ら未加盟の構造設計者を含めて1万人としても指定構造計算適合性判定機関制度の導入には疑問点が多すぎる。

(引用文献:建設通信新聞/11月17日付)

 
 
   
 


「上海環球金融中心」
只今、地上70階・300メートル超現場と
絶妙な演出に驚く、インホメーションセンターを見学

 

 

  森ビルが上海市浦東新区陸家嘴金融貿易区Z−1街区に建設中の「上海環球金融中心」の建設工事現場とインホメーションセンターを11月24日、見学してきた。
  地上492メートル、地下3階・地上101階建て、S造・一部SRC造・RC造、延べ床面積約38万1,600平方メートルの巨大なタワービル。現在、地上70階、高さ300メートルまで建設が進んでおり、07年9月に上棟、08年春に竣工をめざしている。完成すれば、東方明珠テレビタワーの展望台を超え世界一の高さとなり、500メートル近い高さから上海市内を眺望できる。
  工事現場事務所に隣接するインホメーションセンターは、テナント応募者や地元関係者、建設関係者、報道関係らに説明するために開設したもので、メイーンは上海市内4キロ×8キロメートルの市内模型で、精巧な建物と超高層ビルの多さに驚く。また、パネルなどは上海の高層・超高層ビルや道路・交通アクセスなどをつぶさに紹介・解説している。
  圧巻なのは、大型のスクリーンに映し出されている映像を観ていると音も無くスクリーンが上り、そこには上海環球金融中心ビルの高さ10メートル模型が現れる演出。見学者は一瞬何があったのか錯覚するが、その模型の素晴らしさと吹き抜けの空間を左右に階段を設け、模型を見下ろせる構造になっていることにある。心憎いばかりの演出に拍手。
  同センターは、今年4月にオープンして以来、延べ見学者が4,000人を超えていると言われ、日本からは設計・学術団体、建設団体などが多数の視察団に来ており、当日も日本建築構造技術者(JSCA)メンバーの視察団が訪れていた。
  同プロジェクトの概要説明によると、「上海環球金融中心は、世界最先端の設備と一流の管理を誇るインテリジェント環境を提供する大型金融オフィス複合ビルである。建物の規模は、容積対象面積約28.6万平方メートル、地下部分面積約6.6万平方メートル、最高高さ492メートル、地上101階である」と周辺環境、交通アクセス、気候条件などが説明されている。
  日本の建設資金による建設だが、中国国内による建築基準や規制もあって、上海当局や設計院らの協力で建設計画が実現し、日本の建築知識と中国の建築技術が融合して進められている上海環球金融中心ビルは日中友好の新しいシンボルとして建てられている。
  08年北京五輪、10年上海万博を控えて建設ブームに沸く中国であるが、建設・建築技術は確実に進歩・発展していることを痛感してきた。
  本ニュースの今年6月5日付の「地上155メートルを超える」と題した上海上海環球金融中心の話題を参照して頂ければと思います。

 
 
   
 


生産プロセスに適した先端クリーン化実験施設を建設中
都心型技術研究所内に世界最高水準の3施設
=清水建設=

 

 

  清水建設は建設業界で最大規模、クリーン度で世界最高水準の総合クリーン研究施設を東京都江東区越中島の技術研究所敷地内に設け、来年春から稼働予定で建設中である。
  同施設は、S造・地上6階・塔屋1層建て、延べ床面積約1,560平方メートル。<1>モックアップ(実物大模型)、<2>クリーン度ゼロクラスのスーパーナノ、<3>バイオロジカルの3つの研究用クリーンルームを備え、デバイス工場、医薬・医療などの研究目的に応じて使い分けていく。
  同社は、都心型技術研究所としての施設を生かして技術紹介、技術提案をする場所として各種の実験施設・展示などを推進してきた。今回は、最新のデバイス工場建設などに不可欠な先端クリーン化技術の研究開発を強化する一方、先端クリーン技術で顧客企業と密接な連携を採ることで、生産プロセスに最も適したクリーン環境の実現を提案していけるものとしている。
  スーパーナノテククリーンルームは実現する「クラスゼロ」とは、1立方メートル中に粒径0.1マイクロメートル以上の微粒子が1個以下のクリーン度。47平方メートル、2層、高さ7.5メートルの大きさで、クラスゼロから6までの清浄度を確保する画期的な施設である。
  モックアップクリーンルームと呼ばれている大空間クリーンルームは、110平方メートル、室内高さ14メートルの大きさで、建築業界で最も大きい空間となる。2層に分割でき、クラス3−9の清浄度、最新鋭の製造機器を備え付け、実物大の実験も行える。
  バイオロジカルクリーンルームは、19平方メートル、高さ2.7メートルの大きさで、清浄度は6クラスである。医薬品工場や医療施設などに必要なバイオクリーン化技術の実証実験ができ、除菌装置など微生物対策用に特殊設備を備える。
  医療・医薬品、電子、食品関係をはじめ産業界は、企業・商品の信頼性を高めるため、細菌やウイルス汚染対策に懸命である。建築物を建てるだけでなく、施設や装備を含め顧客企業との連携した生産プロセスソフト提供が建設会社の役割になっている。