QCC ニュース (2007年9月5日号)
 
     
  バックナンバーを読む>>  
   

JSCA木原会長が耐震偽装と建築行政を総括
= SATT・札幌研修会で特別講演 =

 

 

 本年4月に新組織に改組した建築鉄骨構造技術支援協会(田中淳夫会長)は、7月17日札幌市内で開催した講演会で日本建築構造技術者協会(JSCA)の木原碩美会長が「耐震偽装事件と建築行政改革」と題しての講演をした。
 木原氏はJSCA新会長に就任後、出身地北海道初の披露講演となった。その講演の中で冒頭の耐震偽装事件についての要旨を紹介する。
 耐震偽装事件は、姉歯元一級建築士と木村建設・木村社長、ヒューザー・小嶋社長らが組んでマンション、ビジネスホテルの構造計算を偽装したもので、構造技術者は無論のこと建築設計者らに大きな衝撃を与え、かつ建築業界に対する不信感を持たれた事件。さらに、建築行政および指定確認検査機関のイーホームズなどが偽装設計を見抜けずに確認申請を通してしまったことにある。木原氏のパネルによって以下の要旨で姉歯耐震偽装事件を総括した。
1) 姉歯秀次・元一級建築士は、
1980年宮城県立古川工業高等学校卒。同年中堅ゼネコン入社、現場管理に従事。88年千葉県市川市にて事務所開設。90年一級建築士登録。05年免許取り消し。
2) 耐震偽装の手口と確認審査 
偽装手口=<1>地震力の低減係数(割り増しをすべきところを低減、別な前後を編集)<2>テキストファイル出力とキーボードによる改悪(断面検証部分のNGをつぶして偽装)<3>保有水平体力集計でのごまかし(荷重方向に平行でない架構の調整係数)<4>エラーやワーニングメッセジー隠し
確認審査の実態=<1>構造が分かる検査員が不在<2>大臣認定プログラムを盲信
3) 耐震偽装事件の社会的背景
 <1>日本人の気質(ノド元過ぎれば震災を忘れる。お上至上主義/確認検査盲信。
   性能を買わず見栄えを買う。一生一度の買物に不勉強)
 <2>中抜けの建築基準法と制度疲労の建築士法
 <3>バブル崩壊後の長引く不況と建築価格競争
 <4>無責任なデベロッパー(売れれば後は野となれ)
 <5>品質管理能力の低い施工会社(金勘定のみ)
 <6>多数の微力な設計事務所の存在(設計料入札)
4) 工学的未熟・判断ミスの事例
<1>耐震壁の開口とモデル化 <2>部材の幅と接合部における偏心 <3>大梁のL/4部位での主筋量や中央のあばら筋不足 <4>柱の直交大梁から作用する二軸曲げ忘却 <5>壁、柱、梁の無分別な剛性低下率入力 <6>杭の小さな鉛直ばね入力による耐震壁架構の剛性調整 <7>壁の脚部転倒モーメントの処理がピン支持仮定で忘却 <8>杭頭部と基礎梁との曲げ強度の非連続 <9>逆梁部の柱帯筋不足と階高調整不正 <10>荷重増分析後のせん断補強設計の忘失 <11>荷重増分析の終了判断の不適切 <12>剛床仮定非成立時にも剛床仮定の計算採用⇒これらの中に、意図的なものも含まれているのでは?
 木原氏は、姉歯偽装事件を契機に構造計算の陥り易い問題点と建築設計の制度疲労などに言及し、建築確認審査制度改革までの経緯と問題点について解説した。

 
 
   
 
07年度第1四半期の鉄骨需要量は268万トン超
= 年間換算では1,000万トン規模に =
 

 

 国土交通省が毎月月末に発表する建築着工面積統計によると、6月20日施行の建築基準法改正による建築確認審査制度に基づく「構造計算適合性判定」を避ける形で前倒し申請が行なわれた。その結果、6月申請件数はSRC造(前月比7.6%増)・S造(同35.6%増)とも前月を上回り、前年比では(別表の通り)大幅に超える件数になった。
 その半面、7月申請件数では、SRC造では前月比42,8%、S造では52.8%と約半分に減少した。また、前年比では4分の1近くまで減少している。
 しかし、07年度第一四半期としての鉄骨需要量は268万5,600トンと高水準値で、単純年換算では1,000万トンを超えることになる。8月以降の確認申請数の推移がどのように展開していくか分かりませんが、建築基準法改正によって建築需要に大きな影響を与えるとなると建築に携わる業界にとって生きの抜けない問題である。

SRC鉄
(t)
床面積
(平方メートル)
前年比 S鉄骨
(t)
床面積
(平方メートル)
前年比 鉄骨合計
(t)
4 32,100 642,000 1.5 539,600 5,396,000 -12.7 571,700
5 35,400 708,000 -8.4 658,900 6,589,000 13 694,300
6 38,100 762,000 71.9 893,600 8,936,000 44 931,700
7 16,300 326,000 -23.5 471,600 4,716,000 -24.7 487,900
121,900 2,438,000   2,563,700 25,637,000   2,685,600
*統計は国交省建築着工統計を基に、鉄骨量を換算  
 
 
   
 
「UコラムBCR−jr」6サイズを今月から発売
日鐵住金建材工業が国交大臣認定取得
 

 

 前号で「耐震構造のニーズに対応し、200ミリ角以下の小径コラムのBCR化」を紹介しました。本号では早速、日鐵住金建材工業が120ミリ角、175ミリ角の小径BCRコラムの国土交通大臣認定を取得し、「UコラムBCR−jr」の商品名で今月から全国の特約店から販売するニュースになりました。
 日鐵住金建材工業が発売するBCR(建築構造用冷間ロール成形角形鋼管)の小径化は、従来JIS規格のSTKR(一般構造用冷間ロール成形角形鋼管)製品を充当してきた低層建築に使用される柱材にも、耐震構造の観点から耐震性能に優れた設計をめざす構造設計者からはBCR材要望のニーズが高まっていたことに対応したものです。
 建築構造用冷間成形角形鋼管(BCRコラム)は板厚6ミリ、200ミリ角以上と規定されており、それ以下のサイズを柱材として設計する場合はSTKR材を採用するしかなかったため設計者は「仕方なくSTKR製品を建築材に使ってきた」現況を解消できるとしている。
 今回発売に踏み切った「UコラムBCR−jr」は、板厚6ミリ、9ミリ、12ミリの3種類と、コラム径150ミリ、175ミリの2種類の6サイズ。同社は全国特約店に在庫し、ニーズに対応するとしている。設計者はBCR材による柱材の選択肢が増えたことになる。