QCC ニュース (2008年5月5日号)
 
     
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鋼材値上げで建築鉄骨業界は極限状態
全建協は単品スライド措置の適用要請へ

 

 

 株安、円高、資源高、さらに消費減の08年である。「産業の米」でもある鉄鋼業界は鉄鉱石、原料炭など高騰の価格転嫁が追いつかず「鋼材トン当たり3万円以上の暫定的な減益になる」といわれるが、その鋼材を使う建築鉄骨業界は度重なる値上げに悲鳴を上げている。
昨年4月と主要鋼材の値上げ額(率)をみれば、H形鋼3万6,000円(46%)、中板2万円(27%)、厚板2万4,000円(28%)、平鋼2万1,000円(23%)である。1年で30%以上の値上げ率である。
 さらに5月から平均1万5,000円から2万円の値上げ通告がされており、建築用鋼材はトン13万円〜14万5,000円になる。これに高力ボルト、デッキプレートなど副資材や溶接材料を加えれば鉄骨材料費のみで16万円を超える。
 こうした価格上昇に対して、ファブリケーター(鉄骨製作工場)は、「鋼材の急激な値上げで、受注した鉄骨価格に転嫁できないばかりか、見積もりできない」状態なのである。昨年6月の改正基準法で建築着工件数が大幅な減少になり、中小ファブは開店休業の状態であった。やっと回復基調になってきた矢先に度重なる鋼材値上げでファブは強烈なダブルパンチに合っている。
 全国建設業協会は、政府・国土交通省に対して「一企業レベルでコスト増を吸収することは到底不可能。急減な物価上昇では設計変更もできない。請負契約の単品スライド措置の適用を要望する」と工事契約金額の変更(スライド条項)を訴えている。
 ゼネコンは鉄筋やセメント、建材製品に対する単品スライド措置である。と、なれば鉄骨業界も元請けであるゼネコンに対してスライド条項を実現することも不可能ではない。鋼材など材料費が70%以上占める鉄骨製品は当然要求である。

 一方、造船業界は年間440万トンの鋼材を使用する。日本造船工業会に属している企業のみで「鋼材トン当たり2万円値上げすれば500億円以上の営業利益が無くなる」という。鉄鉱石や原料炭を運ぶバラ積み船の受注量が多い。その積荷が高騰し、鋼材が値上げされ、建造コストがアップして営業利益が飛んでしまっては笑うに笑えない。世界の船主から3〜5年先の受注残を抱えている「スライド条項」をお願いできるだろうか。
 今のところ造船業界は鋼材値上げを拒否している。交渉が決裂すれば、鉄鋼メーカーは供給停止すれば納期遅れになり、船主から損害賠償を請求され信用を失墜する。そして海運の輸送費高騰にもつながれば、鉄鋼メーカーに悪影響を及ぼす。輪廻ドミノ倒し現象である。


 
 
   
 

07年度鉄骨量約641万8350トンの前年比12.5%減
S造614万6200トン、SRC造27万2150トン

 

 

 国土交通省の建築着工統計調査による3月の建築着工面積は13,2258,000平方メートル(前年同月比3.1%減)で、7月以降連続9ヵ月の減少となった。3月のS造は5,259,000平方メートル(同14.2%増)で、鉄骨換算では52万9,000トン。SRC造は52,500平方メートル(同52.5%増)の同3万4,250トン。S造・SRC造の合計では56万0,150トンと、揃って増加したのは9ヵ月ぶり。
07年4月−08年3月のS造・SRC造の12ヵ月合計では641万8,350トンで、06年度の733万5,000トンに比べ約91万6,650トン減の12.5%減である。
この減少は改正基準法の影響と、さらに鋼材高騰による鉄骨造建築物の減との二重要因である。3月調査の鉄骨合計が56万0,150と回復したことで640万トン台に乗った。この需要量は26年前の昭和56年度642万6,000トンを下回る数字ものである。

S造・SRC造の07年4月−08年3月までの推移

国土交通省調べ