QCC ニュース (2008年11月5日号)
 
     
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大地震でも無損傷鉄骨建築物を実現
降伏強度880Mpaの超強度厚鋼板を開発
=住友金属・産学共同研究=

 

 

 大地震でも鉄骨建築物が倒壊・損傷しないという<夢のような>建築鉄骨用厚鋼板が開発された。
 夢の鋼材を実現したのは住友金属工業の総合技術研究所を中心に、大阪大学、京都工芸繊維大学、日建設計、片山ストラテックらによって2004年から産学による連携研究が行なわれ、世界初の1000メガパスカル(降伏強度880Mpa以上)級の建築構造用超高強度厚板鋼板「SSS1000」を開発、すでに国土交通大臣認定を取得した。
 鉄骨建築物の主要部材に使う厚鋼板としては最高の強度を持ち、大地震時でも柱・梁が損傷せず、その後も使い続けられる「無損傷建物」を実現できる。従来の耐震構造は柱・梁が塑性変形して地震エネルギーを吸収し、建物の倒壊を防ぐ仕組みであったが、大地震後では建物の使用が困難になることがあった。
 建築鉄骨で使用されている厚鋼板の中で最高強度590Mpa(降伏強度440Mpa)の2倍の降伏強度を持つ1000Mpaの超高強度を制震デバイスとともに採用することで、地震エネルギーをダンパー(制震材)に集中、主要構造部材の損傷がなく、荷重を除けば元に戻る弾性状態にとどめる技術開発を進めてきたもの。
 一方、高強度鋼の課題であった溶接施工については、日鐵住金溶接工業と共同研究を行い、鉄骨組立時の広範囲な溶接条件下で、母材と同レベルの降伏強度を持つ溶接金属部を得られる溶接材料を開発し、鋼材・溶接材料の最適な合金成分設計・製造条件を得て、汎用性を持たせた。SSS1000鋼と合わせて国交大臣認定を取得している。
 住友金属工業が鋼材・溶接材料を開発し、片山ストラテックとともに施工方法を確立。構造設計方法は大阪大学、京都工芸繊維大学、日建設計が共同で研究した。連携研究グループでは今後、設計方法や施工実験などを連携継続し、10年の実用化をめざしている。
 鋼材価格の高騰によって鉄骨建築物の競争力が微妙な状態にある中、無損傷建築物を信じて超高級鋼材(SSS1000)を採用する建築主がどれだけ居るかに注目したくなる。

(国土交通省調べ)

 
 
     

鉄スクラップ価格2万円を切るまで急落
電炉鋼材は価格下げ傾向と安定供給

 

 

 鋼材急騰要因のひとつであった鉄スクラップ(H2ベース)価格の下げピッチが加速している。今年6月に7万円超えをピークくに下がり始め、10月24日には1万8,000円まで下がった。この要因は、世界規模の金融危機による景気不振から中国、韓国などの減産による輸出需要の急ストップによる価格低下と国内スクラップの競争力からくる市場混乱が予想以上の急落となった。
 鉄スクラップを主要原料とする電炉メーカーは、今年になって8月までに3〜4回に亘る値上げをしてきたが、ここに来て電炉トップメーカーの東京製鉄は鋼材価格を値下げするなど対応に苦慮している。
 建築鉄骨に使用される電炉のH形鋼や平鋼など13〜14万円の高値になった。そのためファブリケーターの鉄骨見積もり、価格交渉にも影響し、なお鋼種不足による歯抜けが出るなど鋼材確保に奔走したものの、10月以降は鋼材価格の減少と鋼種確保に安定感がでてきた。しかし、鉄骨価格高から中小物件の建築計画を見合わせる動き、一部電子関係の大型プロジェクトの第2期工事が延期する現象や、RC造に設計変更するなど鉄骨需要量の減少傾向に現れている。
 一方、高炉メーカーは依然として鉄鉱石、石炭など原料高・輸送費高であるが、ここにきて急激的な円高もあってファブ業界ら各ユーザー業界から価格下げへ要請にどう応えるか注視されている。
鉄骨の主鋼材は高炉の厚鋼板、H形鋼、コラムであるため市況を見ながらの減産調整によって価格維持を図っている。そのため電炉鋼材が下がっても高炉鋼材が高止まりのため、鋼材全体に大きく影響しないためファブ業界は当分厳しい状況が続くものと思われる。

 
 
     

ドバイに高さ1000mの超々高層ビル計画
20年竣工、居住人口5万5000人

 

 

 アラブ首長国連邦(UAE)の未来都市ドバイは、超高層ビル群をはじめ鉄道・道路網や人工リゾート島などの建設ラッシュが続いている。ドバイ政府系開発会社のナキール社が計画している地上1,000メートルの超々高層ビルを核とする開発プロジェクトの建設が世界の話題になっている。
 この超々高層ビル「ナキール・ハーバー・アンドタワー」は、港(ハーバー)開発のコア部分になる。開発面積約270ヘクタール以上のエリアに、@25万平方メートル規模のリゾートホテルをはじめ癒やしスペースA10万平方メートル規模のショッピングセンターなど商業施設B広大な緑地空間などを創出する。総事業費は数十億ドルになると見られている。着工から6年目には中低層部への入居を開始し、10年後には周辺施設などを含め全体竣工となる。
 この開発エリアには居住人口5万5,000人以上、就業人口は4万5,000人を超え、年間来訪者は数百万人を数えるといった<都市の中の都市>である。本格着工の時期を発表していないが、10年に着工して20年には完成とみられている。すでに、ドバイでは政府系開発会社のエマール社が地上800メートルを超えるビルを建設中である。
 米国の金融危機による世界経済への影響が深刻化する中、不況に対する危機感を拭い去る狙いもあってか、ナキール社は「全てにおいて<世界一>を目指す」と宣言し、ドバイの都市づくりを改めてアピールしたが、蜃気楼都市にならなければ良いがと思うのはひがみ根性か!