QCC ニュース (2009年6月5日号)
 
     
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09年4月分 鉄骨需要量は過去最悪の実績
前年同月比41.4%減の30万6,950トン

 

 

 国土交通省が5月29日に発表した建築物着工統計によると、4月の建築物合計は9,431万平方メートル(前年同月比32.5%減)で、6ヵ月連続減少になった。建築主別では、公共建築物が606万平方メートル(同8.2%増)、民間建築物は8,825万平方メートル(同34.2%減)。
 居住建築物(マンション・住宅など)は、6,168平方メートル(同31.1%減)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は、3,263万平方メートル(同34.9%減)。鉄骨建築物は、S造は2,961万平方メートル(同41.8%減)、SRC造が217万平方メートル(同29.9%減)となり、S造、SRC造とも大幅な落ち込みとなった。ちなみにRC造は2,293平方メートル(同35.4%減)、W造(木造)は3,896平方メートル(同21.7%減)と軒並み大幅な減少になっている。
 鉄骨需要換算では、S造は29万6,100トン、SRC造が1万0,850トンの鉄骨合計が30万6,950トン(同41.4%減)と30万トンを割る寸前までの落ち込みは、俄かに信じられない実績値。世界同時の金融危機による景気後退が建築投資の減少と思われるが予想以上である。
 国会は29日、総額13兆9,256億円の09年度補正予算が成立し、緊急経済対策費15・4兆の追加経済対策を裏付けるもので、経済対策の執行によって、建設需要の喚起策になることを期待したい。

08年4月−09年4月 鉄骨需要量の推移

年/月

S造

前年比

SRC造

前年比

鉄骨造合計

4

508,500 ‐5.8 15,450 ‐51.8 523,950
5 505,100 -23.3 24,400 -2.9 529,500
6

550,700 -38.4 22,850 -45.7 573,550
7 598,000 26.8 19,600 20.2 617,600
8 530,000 48.2

27,900 56.8 557,900
9 456,200 49.8

20,550 47.1 476,750
10

492,100 32.1

18,300 82.1 510,400
11 419,200 -20.1 11,500 -67.4 430,700
12 453,700 -26.7 17,850 26.8 471,550
09/1 422,300 -7.5

13,950 5.1 436,250
2

356,100 -15.6 16,700 44.0 372,800
3 371,600 -29.3 11,100 -67.6 382,700
4 296,100 -41.8 10,850

-29.9

306,950

(国土交通省調べ)

 

 
 
     

鉄骨需要の大幅減にもかかわらず
大型プロジェクトに参画する海外ファブ

 

 

 大手ゼネコンの調達・購買では、ここにきて輸入鉄骨に関心を集めている。輸入鉄骨は商社鉄骨と同様、鉄骨需要の増減と関わりなく、周期的に話題になる。世界的経済不況の昨今、鉄骨需要の大幅な減少にもかかわらず、東京都心部の大型プロジェクトは活況を呈している。このようなプロジェクトに必ず海外ファブが参画するのはこの数年来、珍しい現象でなくなっている。
 今、日本で注目されている海外ファブでは、タイ・アユタヤ市のM社、中国・紹興市のJ社に次いで、中国・青島市のS社である。大手高炉メーカー系の建設集団傘下のファブで、米国・中東・ブラジル向け鋼構造物輸出を手がける一方、一昨年来より日本の大手ゼネコンのK社プロジェクトに参画し、実績を伸ばしている。S社は工場ライン立上げから日本人技術者を招聘し、日本向け鉄骨製作・品質管理・工期遵守などの教育・指導を徹底し、さらに価格対応のためのコスト低減を図っている。このような企業姿勢がゼネコンK社の評価につながっている。
 昨年秋以降の世界的な金融恐慌と、ここにきて鉄鉱石・原料炭の急落によって、鋼材価格が値下がり傾向にあるが、既に中国高炉メーカーも大幅な需要減と鋼材価格の下落から鋼材輸出に狙いを定めつつある。高炉系ファブのS社も鋼材値下げのフォローもあって、鉄骨輸出の活路を日本市場に狙いつけている。
 海外ファブ起用する要因には、@大手・準大手ゼネコンの建設コストダウン対策の一環、A大手・中堅ファブと海外ファブとの提携・下請け関係、B商社など鉄骨斡旋業者の仲介――など、いずれも国内に強力なパートナー役が存在することと、価格差(国内単価よりも2万円以上安い)で一致している。かつての韓国ファブのS社が行なっていた営業・受注・製作までを自社で担当している海外ファブは居なくなっている。
 08年度の需要量は600万トンを割る水準まで落ち込んだものの、輸入鉄骨はこの数年確実に増えている。「年間5〜10万トンぐらいは輸入しても国内需要に影響ない」と言われていたのは700,800万トン時代。現今の輸入鉄骨の状態が続けば、「近い将来、輸入鉄骨(年間)50万トンを超える時代が到来する」と大手ゼネコン技術者が指摘する。
 輸入鉄骨の主体は大型プロジェクト物件の梁鉄骨であったものが、中規模物件では四面ボックスの柱鉄骨まで扱うようになっている。鋼種・品質・変更・検査・工期など幾つもの問題が解決しないまま、価格のみでこのまま輸入鉄骨が増えていくことにことに対して、何らかの歯止めが必要になると思われる。

 
 
     

外国人技能工の循環型システムづくり
= 日建連・海建協報告書で提言 =

 

 

 同ニュース3月付で外国人研修・技能実習生の実態を、5月付で外国人溶接研修・技能実習生の問題点を採り上げたが、今回は日系外国人も(低賃金のため)敬遠する建設業界における外国人研修生・技能実習生制度の現況と課題について建設業界紙から探ってみる。
 「日刊建設工業新聞」5月25日付によると、日本建設業団体連合会(日建連)と海外建設協会(海建協)は共同で、外国人研修・技能実習制度の活用と改善に向けた調査報告をまとめた。日本型の品質管理や生産システムを習得した外国人が国内以外での能力を発揮できる「循環型システム」の構築を提案している。
 日本人建設技能労働者の入職促進や育成環境の整備を前提としながらも、(低賃金で)外国の有能な人材が技能労働者として活用される基本インフラを整備することで、日本での建設技能の伝承だけでなく、中長期的にはゼネコンの国際競争力を強化することにもつながると、報告書で提言している。
 建設分野での外国人研修生・技能実習生の受入数は、02年は双方とも2,000人程度であったが、07年では6,000人前後と約3倍に伸びている。技能実習生の職種割合は(1)とび20.1%、(2)型枠工19.4%、(3)鉄筋工16.4%、(4)内装仕上げ工10.9%、(5)建築大工8.1%、その他25.0%(07年度調べ)。現在、国際研修協力機構(JITTCO)支援の研修・技能実習生は約18万人が在留し、うち建設では約1万6,000人。
 日建連と海建協は、昨年度「外国人研修・技能実習制度活用委員会」を設置し、調査検討を進めてきた。報告書は、外国人研修・技能実習制度を円滑かつ適正に活用し、質の高い技能工を養成することで、ゼネコンの国際競争力の強化や、建設技能の伝承にも一定の効果を期待できる可能性があると指摘。受け入れ機関による不正行為が発生していることを踏まえ、制度の運用改善する観点から新たな人材活用の仕組みづくりを提案している。
 具体的には、送り出し機関、受け入れ機関の不正行為を防止するための基準を定め、罰則も強化。加えて、技能実習期間の延長(現行研修1年、実習2年)や企業に受け入れられる研修生の人数枠の拡大、技能実習に移行できる職種や作業対象の拡大、母国に戻った技能実習経験者が再入国できる制度改正を求めている。
 在留資格での再入国が可能になれば、優秀な技能実習生は実習を終えて帰国した後に母国の建設業で研さんを積んだ上で、日本の建設現場などで能力を発揮できる。報告書は、そうした研修・実習経験者が、数年後に母国や第三国に渡り、日系ゼネコンの現地幹部職員・専門工事業者の職長など、現場のマネージメントを担うことになれば国際競争力の向上も期待できるとしている。
 こうした循環型システムを構築するため、母国に帰った研修・技能実習生の人材情報データバンクの整備を提言し、建設業界が外国人研修・技能実習制度を適正に活用していくため、参考書やマニュアルを作ることの必要性なども指摘している。
 建設投資が50兆円を割り、建設業界にも厳しい雇用環境が到来して久しいが、海外からの研修生・技能実習生は相変わらず顕著な推移をしている。アジア諸国の若者は「日本に行けば、稼げる・学べる・楽しめる」と、夢や希望のばら色国に映っている。送り出し・受け入れ機関らは、現実の経済環境の厳しさや報酬・労働条件を知らせることも必要なことである。

(記事転載:日刊建設工業新聞 )