QCC ニュース No.115号 (2009年8月5日号)
 
     
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6月の鉄骨需要量 36万6,550トン
前年比36.1%減 連続8ヵ月減少

 

 

  国土交通省が30日に発表した建築物着工統計によると、6月の建築物面積合計は10,246万平方メートル(前年同月比28.9%減)で、8ヵ月連続減少。建築主別では、公共建築物が748万平方メートル(同7.1%増)、民間建築物は9,497万平方メートル(同30.8減)と民間需要は大きく落ち込んでいる。
 用途別では、居住建築物(マンション・住宅など)は、6,305万平方メートル(同27.7%減)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は、3,941万平方メートル(同30.8%減)で、住居・非居住建築物とも大きく減少している。
 構造別では、鉄骨建築物は、S造は3,565万平方メートル(同35.3%減)、SRC造が201万平方メートル(同56.0%減)となり、S造は7ヵ月連続の前年同月減、SRC造は4ヵ月連続の落ち込みとなった。ちなみにRC造は1,966万平方メートル(同37.2%減)、W造は4,471万平方メートル(同15.4%減)の減少。
 鉄骨需要換算では、S造は35万6,500トン、SRC造が1万0,050トンの鉄骨合計が36万6,650トン(同36.1%減)になり、30万トン台に戻ったものの以前低水準である。

 

 
 
     

建築鉄骨半世紀、ピーク時1200万トンを記録
需要量500万トン時代に対応した業界へ

 

 

 世界同時不況の影響は建築鉄骨の需要量にも現れている。昨年10月の51万トン以降、毎月減少し、今年2月から30万トン台を推移してきたが、5月は28万トンにまで落ちた。6月に36万6,550トンと30万トン台に戻ったものの、50万トン台には遠く及ばない。1−6月の需要量は214万6,200トン。単純計算でみても09年(暦年)は429万トンでしかない。この数字は68年(同43)の450万トン以下である。

 建築鉄骨の加工量統計を遡ってみると、朝鮮動乱の特需景気から経済復興をしはじめ、1960年(昭和35)鉄骨加工量は100万トン台に乗った。この年、池田勇人首相の「所得倍労計画」を発表。以降、経済成長とともに建設ブームによって鉄骨需要は増加する。64年(同39)の東京オリンピック特需は200万トン台に乗せ、毎年急増していき、この時代にリベット工法から溶接鉄骨に切り替わっていく。69年には600万トンを記録する(60年代を「溶接鉄骨とファブ乱立期」)。
 第一次石油ショックの73年は970万トン台の鉄骨需要ピークを迎える。70年代は高度成長期もあって、前半5年間は730万トン台、後半5年間は650万トン台と後半減少するものの10年間の平均では692万トン(70年代を「不良鉄骨と全構連設立期」)。80年代は600、700万トン台で推移するが、後半の2年は1,000万トン台を超え、10年の平均は809万トンとなる(80年代を「コラム普及と工場認定制度期」)。
 90年代も前半は90年の1,200万トンをはじめ1,000万トン超えは4年もあり、第二次鉄骨ピークを迎える。この10年間の平均加工量は966万トンと、鉄骨建築の黄金時代となる(90年代を「SN材とCAD・ロボット期」)。しかし、2000年に入ると、810万トンから徐々に減少し、700万トン台を前後する。08年は589万トンと、41年振りに600万トンを割る。今年500万トンとすれば、09年代の平均は686万トン程度となる(2000年代を「鋼材乱高下と需要低迷期」)。

 建築全体の需要は昨年の11月から急減している。RC造は今年1月から前年比減が続いているが、鉄骨造ほどの減少率ではないが、6月は37.2%減とかなり厳しい現況。この数年来、柱をRC造、梁をS造のハイブリット造が普及してきており、この場合の構造種別が定かでないことも建築物着工統計の不備な点とも思える。
 しかし、建築鉄骨においては、何と言っても改正建築基準法による需要減に続き、鋼材急騰による競争力の低下がファブ業界にとって想定外の出来事であった。そうした状況が続いているにしても、年間需要量500万トンを割るようでは、とても業界維持・存続をすることが極めて困難な状態になりつつある。
 先月22日、東京・有明の東京ビックサイト会場で全国鉄構工業協会の全国大会(850人参加)が開かれたが、鉄骨需要を自ら生み出せないこと、ゼネコンからの下請け的存在といった業界構造であるため、抜本的な打開策を見出せなかった。鉄骨需要量500万トン前後に減少しつつあるファブ業界にとって、待ったなしの構造改革(業界団体の再編成)が急務と思われる。

 
 
     

JSCA賠償保険制度 11月から実施
正会員対象に9月から募集開始

 

 

 日本建築構造技術者協会(略称、JSCA)は、昨年11月の改正建築士法により構造設計者の権限と責任の拡大に伴って、正会員を賠償保険に加入する必要性が高まったことから「構造設計賠償保険制度」を創設する。
 JSCA業務委員会では、会員からの意見聴取や理事会で議論を経て、具体的に保険会社と打ち合わせしてきた。JSCA賠償保険制度は、設計事務所を対象にした既存の賠償保険とは違う内容にし、構造設計業務にかかわる事項だけの賠償保険とする方針。なお、同制度の実施はJSCA会員の社会的信頼を得るのが目的としている。構造設計一級建築士の関与が義務付けられる。当初予定では、今年5月実施が11月に変更し、9月から順次募集していく方針。
 JSCA賠償保険は、構造設計業務にかかわる事項のみを対象とする賠償保険とすることで、自己率が低いこと、また自己発生時にある程度は自己負担(免責金額設定)を行なうということを前提とした保険制度のため低保険料としている。
 一方で、既存保険が扱っていない部分をできる限り対象に含める。国内業務では、【1】構造設計等の業務ミスで物損や機能損失が生じた場合の賠償【2】建物竣工後の法令を満たさないことが発覚した場合の賠償【3】訴訟に関する費用――などをカバーする。
 対象者は、JSCA正会員が構造設計に主体的な役割を果たしている一級建築士事務所。現在、既存の建築賠償保険に加入している場合、その賠償内容の権利を新たな保険で継続できるよう検討している。免責金額を設定し、一定額を自己負担する仕組みとする。