QCC ニュース No.119号 (2009年12月5日号)
 
     
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10月鉄骨33万2,000トン(前年同月比35.0%減)
4−10月平均32万5,000トン 42年前の低水準に

 

 

  国土交通省が30日に発表した建築物着工統計によると、10月の建築物面積合計は9,708千平方メートル(前年同月比24.6%減)で、昨年11月から12ヵ月連続の前年対比減が続いている。
  建築主別では、公共建築物が827千平方メートル(同0.6%減)。民間建築物は8,881千平方メートル(同26.3減)と10ヵ月連続の大幅減。一方、建築物の用途別では、居住建築物(マンション・住宅など)は6,329千平方メートル(同20.2%減)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は3,379千平方メートル(同31.6%減)で、住居・非居住建築物とも大幅減となっている。
  構造別では、鉄骨系建築物では、S造は3,226千平方メートル(同34.4%減)、SRC造が188千平方メートル(同48.8%減)となり、S造は11ヵ月連続の前年同月を大きく下回っている。SRC造は1万トンを下回ること3ヵ月連続。非鉄骨系建築物では、RC造は1,948千平方メートル(同30.9%減)、W造は4,300千平方メートル(同9.0%減)と、建築全般にわたって減少は続いている。
  鉄骨需要換算では、S造は32万2,600トン、SRC造が9,400トンの鉄骨合計が33万2,000トン(同35.0%減)の低水準が続いている。4−10月の7ヵ月間合計で227万4,000トン(前年同比40.2%減)。月平均32万トン台。このベースで行けば21年度は400万トンぎりぎりとなり、1967(昭和42)年水準である。

  昭和42年とは、1月米軍が南ベトナムのメコンデルタに初侵攻。4月東京都知事に美濃部亮吉。6月中国初の水爆実験。9月羽越大水害。12月佐藤首相が非核3原則を言明した年で、高度経済成長への入り口。当時、思春期だった団塊世代は、日本放送(現ニッポン放送)の「オールナイトニッポン」など深夜放送に夢中だった時代。

 
 
     

建設・建築需要に新たな喚起策を
業種転換でなく、技能・技術伝承への投資

 

 

  建築着工面積が激減している。毎年度2億平方メートル前後で推移していた着工面積は、90(平成2)年度の2億7,911万平方メートルを境に下降し、08(同20)年度は1億5,139万万平方メートルになっている。2億ベースの水準からすれば建築市場約4分の3の規模に縮小している。
  建設投資から見ると政府・民間投資を合わせピークの92(同4)年度の84兆円から08年度47.2兆円に減少しており、このうち建築投資はピークの90年度の53兆円から半減の27兆円になっている。一方、建設業者はピーク時の99(同11)年度の60.1万社から08年度50.9万社と8%減である。ここに問題がでてくる。
  国土交通省の前原誠司大臣は「建設業の許可業者50万社は多すぎる。事業を行なっていない会社が30万社ある。実質20万社以下にすべき」との認識を示したため大きな波紋を呼んだが、ここにきて建設市場が4割減、建築需要が5割減しているのに、建設業者のみが8%減程度では過当競争を免れない。
  前原国交相が就任時の会見で述べた、建設業は維持管理の分野で新たな役割を果たすべきとの発言では、【1】観光分野への施設強化 【2】航空オープンスカイ構想 【3】港湾整備 【4】運輸、建設の海外展開 【5】建設業から農業、林業への転換などである。果たしてこのような施策で30万社の余剰業者を分散できるのか疑問でもある。
  建設業界紙の報道によると、日本ダム協会の葉山莞児会長は前原国交相に対して「これからは建設業に延命的な政策はとってほしくない」と注文を付けた、建設業者の再編や淘汰を容認する姿勢を示したと伝えている。建設業者に就業者数はピーク時で640万人程度と言われている。
  09年度は40兆円を下回ろうとしている現在でも560万人(13%減)である。葉山会長は「(40兆円規模では)500万人も600万人も(建設業界が)抱え込む必要はない。今の建設市場では250万人から300万人程度で十分だ」と、個人的見解を述べている。葉山会長は前日本土木工業協会の会長で、今年4月に日本電力建設業協会、日本鉄道建設業協会、日本海洋開発建設協会との4協会合併を果たした人だけに、その発言は重いが葉山会長には秘策があるのか――。
  首都圏など大都市では再開発による超高層建築が続いているものの、一般住宅や小規模建築は減少し、それに代わって、耐震改修やリニューアル建築やリフォーム工事が急増している。この分野ではこの2〜3年後の市場は8兆円規模にまで成長するとしている。
  疑問の余剰業者30万社と就業者300万人の業種転換であるが、地方建設業の新規分野としては農業・林業への転換であるが、農業の規制緩和があっても何十万人を包含できるものでもない。林業とて同様である。
  昨今、政治評論家の森田実氏も各地の講演で「まだまだ建設投資は必要だ」と、公共事業14%削減に苦言を呈している。建設・建築業で培った高い技能や蓄積された技術を生かすには少なくとも建設投資を55兆〜60兆円規模に戻す政策が不可避である。
  何故なら、建設・建築の技能・技術を維持・伝承することは、「こども手当て同様、働くひとへの投資」であるからである。

 
 
     

08年度のGDP確報値3.5%減
減少幅では戦後最悪

 

 

  ドバイショックで11月27日の円相場は一時1ドル84円台まで急伸し、14年ぶりの円高・ドル安水準になった。このため、輸出産業を中心の企業業績の悪化が避けられず、株価は(日経平均)9,700円台に下げ(現在、円は88円台へ、株価も1万円にむかっているが)、日本経済は二番底に沈む可能性が高まったとされている。
  内閣府が2日発表した08年度の国内総生産(GDP)確報値は、個人消費の冷え込みで前年度比3.5%減となり、11月時点での速報値から0.3ポイント下方修正された。昨年秋のリーマンショクによる経済危機の影響で7年ぶりのマイナス成長に転じ、減少幅は戦後最悪になった。
  また、物価の変動を反映した名目は4.0%減と0.5ポイント下方修正された。物価動向を総合的に示すGDPデフレーターもマイナス0.5%と、0.2ポイント下方修正された。名目が実質を下回るデフレ傾向が1998年度以来、11年も続いている。
  年金・医療・介護など先行き不安要素が解消されない状態が続く中、個人消費が一向に改善されず、スーパーマーケット、コンビエンスストア、デパートの売り上げが減少し、デフレスパイラルは続く一方である。こども手当て支給や暫定税率の廃止と環境税の導入、高速道路の無料化など揺れ動くばかりで、鳩山新政権の景気対策が一向に見えてこないこともあって、デフレスパイラル現象が当分続くと思われる。