QCC ニュース No.120号 (2010年1月5日号)
 
     
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新年 明けましておめでとうございます。
本年も「QCニュース」のご愛読をお願い申し上げます。

キューシーコンサルタント・編集担当

 
     


子ども手当・高校無償化が景気浮揚は疑問
公共事業の在り方を見直し、技術・技能伝承を護れ

 

 

  2010(平成22)年度の一般会計総額は、92兆2,992億円(前年度当初予算比4.2%増)と、2年連続で過去最大を更新した。リーマンショック、ドバイショックと相次ぐ経済危機による税収激減が、新規国債発行額は44兆3,030億円(同33.1%増)と過去最大に達した。国債発行額が税収額を上回ったのは戦後初めてである。
  事業仕分けでは思ったほど削減できず、民主党マニフェストに振り回された末に、過去最大の92.3兆円に加え、補正予算7.3兆円で99.6兆円の予算案にも、経済界や建設・建築業界から聞こえる声の大半は、景気回復への期待感が薄いのはどうしてであろう。
  「コンリートとから人へ」の民主党マニフェストによる「子ども手当」、「高校授業料の無償化」、「農家の戸別所得補償制度」、「高速道路の一部無料化」など、かつて無い分野へ財源が使われることへの不信感の表れである。
  コンクリートに代表されるダム・道路・港湾など公共事業の凍結・中止による18.3%削減が民間建設・設備投資を冷やすことになると思われるからである。経済界・産業界はもとより国土交通省内部では、河川・道路・港湾などの事業部局は複雑な思いで越年したものと思われる。
  建設投資額はピーク時の84.0兆円から16年後の08年度では47.2兆と4割以上も激減している。政府建設投資の減少が民間建設投資にも影響が現れ、この10年30兆円台で推移してきたものが08年度で30兆円割れとなった。民間建設投資は建築投資であり、ピーク時の55.7兆円から半減したことになる。
  子ども手当にと高校無償化で2.1兆円に対して公共事業関連では5.8兆円である。子ども手当などが消費を増やし雇用促進し、景気回復につながるかは疑問である。むしろ、待機児童の解消のための施設、介護・高齢者施設の拡充や学校・公共施設の耐震改修など「コンクリートで人を護る」ことの方が、景気浮揚策につながる。
  11年度の子ども手当は倍額2.6万円になる。子ども手当と高校無償化と合わせれば3.9兆円に膨張する。公共事業がさらに減少すれば、建設・建築業界は疲弊し、技術・技能の伝承すらできなくなる。(手当額に)何の根拠もなく、10年度1.3万円、11年度以降2.6万円の子ども手当は本当に必要なのかを見直しすべきである。

 
 
     

11月鉄骨334,100トン 前年同月比22.4%減
1−11月の累計379万9,800トン

 

 

  国土交通省が12月25日に発表した建築物着工統計によると、09年11月の建築物面積合計は9,606千平方メートル(前年同月比19.4%減)で、13ヵ月連続の前年対比減が続いている。昨年秋のリーマンショックが癒されていなうちにドバイショックによる円高が輸出産業に影響し、景気は二番底を窺う状態で、建築需要は一向に好転していかない。
  建築主別では、公共建築物が625千平方メートル(同5.2%減)の4ヵ月連続の減少。民間建築物は8,981千平方メートル(同20.3減)と10ヵ月連続の大幅減が続いている。
  一方、建築物の用途別では、居住建築物(マンション・住宅など)は6,163千平方メートル(同16.4%減)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は3,442千平方メートル(同24.3%減)で、住居・非居住建築物とも大幅減となっている。
  構造別では、鉄骨系建築物では、S造は3,242千平方メートル(同22.7%減)、SRC造が198千平方メートル(同13.7%減)となり、S造は12ヵ月連続の前年同月を大きく下回っている。SRC造は1万トンを下回ること4ヵ月連続となっている。
  非鉄骨系建築物では、RC造は1,707千平方メートル(同43.3%減)、W造は4,420千平方メートル(同0.0%)と、鉄骨系もコンリート造も減少が続いている中で、木造建築は前年並みになった。
  鉄骨需要換算では、S造は32万4,200トン、SRC造が9,900トンの鉄骨合計が33万4,100トン(同22.4%減)になり、今年2月以降30万トン台の低水準が続いている。1−11月累計では379万9,800トン。12月も平均値とすれば34万5400トン程度となれば、暦年需要量は414万5200トン規模になる。400万トン超であれば、1967(昭和42)年の水準値である。

 
 
     

構造・設備設計1級建築士制度
各省庁に適切運用周知を要請

 

 

  国土交通省は、改正建築士法に基づく構造・設備設計1級建築士制度の適切な運用を求める通知を、先月10付で各省庁の営繕課長に出した。このことは、一部の官庁営繕事業の発注に際し、当該建築士が所属していない建築設計事務所の入札参加を制限するなど、同制度を誤解されて運用されていたケースがあったため、制度の周知徹底を図るために行った。
  改正建築士法では、一定規模以上の建築物について、構造・設備設計1級建築士の設計関与を義務付けているが、当該建築士が所属していない建築設計事務所に対して、入札などへの参加機会を制限することは意図されていない。当該建築士が所属していなくても、一定以上の建築物を設計する場合は、当該建築士が所属する外部の建築設計事務所と提携すれば問題なく入札できるため、周知した。
  このほか、改正建築士法で義務付けられた設計・工事監理に関する重要事項説明が、公共工事も対象となることも、都道府県に対して通知している。
  一方、民間の建築設計事務所においても構造・設備設計1級建築士が所属していない中小設計事務所の受注業務に支障をきたしつつある。今年度から建築需要が急激に減少したこともあって、厳しい対応に迫られている。新しい制度が創設されると、必ず排除の論理が罷り通り、そのしわ寄せが中小企業に影響を及ぼすことになる。
  こと、構造・設備設計に限らず、改正建築士法についての周知を図ることを日本建築士事務所協会連合会など設計団体の役割にも期待したい。