QCC ニュース No.124号 (2010年5月5日号)
 
     
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3月鉄骨需要量37万5,800トン 
前年同月比1.8%減
42年ぶりに400万トンを割る

 

 

  国土交通省が3月30日に発表した建築物着工統計によると、10年3月の建築物面積合計は10,366千平メートル(前年同月比3.7%増)で、前年対比17ヵ月ぶりに微増ながらプラスになった。 
  建築着工の延べ床面積では、▽建築主別の公共建築物が780千平方メートル(同4.5%増)の微増だが4ヵ月続けての増加。民間建築物は9,586千平方メートル(同3.7%増)と17ヵ月ぶりに微増となった。
  ▽用途別では、居住建築物(マンション・住宅など)は6,206千平方メートル(同1.0%増)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は4,160千平方メートル(同8.1%増)で、居住・非居住建築とも増加傾向が窺える。
  ▽構造別では、鉄骨系建築では、S造は3,536千平方メートル(同4.9%減)、SRC造が444千平方メートル(同99.9%増)。ちなみに、RC造は2,459千平方メートル(同2.8%増)と増加している。SRC造は低迷が続いていたために倍増につながったものの、S造は17ヵ月続いての減少が続けている。
  ▽鉄骨需要換算では、S造は35万3,600トン、SRC造が2万2,200トンの鉄骨合計が37万5,800トン(同1.8%減)になり、8ヵ月ぶりに37万トン台に戻した。09年度(4月−10年3月)の鉄骨造累計は390万5,750トン(同33.7%減)となった。

 
 
     

10年度の鉄骨需要量は400万トン超か?
鉄骨ファブ業界のサバイバル期に突入

 

 

  国土交通省の建築着工統計をベースとした09年度(09年4月−10年3月)の推定鉄骨需要量は390万5,750トンで、400万トン台を割り込み、昨年度実績589万4,000トンを大幅に下回る記録的低水準となった。400万トンを下回ることは、67年度以来実に42年ぶりとなった。
  一昨年のリーマンショック、昨年秋のドバイショックと2年続けて、世界的な金融危機以降の景気後退による設備投資抑制が建築需要を激減させ、鉄骨ファブ業界の苦境を数値で裏付ける結果となった。

年度別鉄骨需要量(1989年度−2008年度)
89年度  11,952,000  
90年度  12,099,000  
91年度  11,425,000  
92年度  10,257,000
93年度  8,807,000  
94年度  8,892,000  
95年度  9,305,000  
96年度  10,298,000
97年度  9,274,000  
98年度  7,775,000  
99年度  7,679,000  
00年度  7,840,000
01年度  7,007,000  
02年度  6,695,000  
03年度  6,908,000  
04年度   7,334,000
05年度  7,206,000  
06年度  7,335,000  
07年度  6,420,000
08年度   5,894,000
09年度の月平均需要は32万5,480トンの低推移である。最ピーク時の90年度との対比をすれば67,7%減と、約3分の1にまで減少している。この10年間の月平均需要58万5,980トンと比べても44.5%減である。ファブ業界では年間需要700万トン台なら<安定需要>とみている。600万トン台では<危険水域>。500万トン台は<業界淘汰>と言われていたが、400万トン台以下の需要量については、あり得ない数字として全く言及されてこなかった。
  06年度までは安定需要の700万トン台を維持してきたものの、07年度で危険水域の600万トン台に突入。08度は業界淘汰の500万トン台に下がり、そして09年度は400万トン台を通り過ぎ、予想以上の低水準値の390万5,750トンである。何と表現すべき数値であろうか!
  東京、大阪、名古屋の三大都市圏における駅前再開発事業をはじめ、築40年を超えるビルの建て替えや、一時期中断していた液晶・半導体、リチウムイオン電池関係の工事再開など大型プロジェクトも顕在しているが、何と言っても需要の根底を支えている地方都市および中小物件の落ち込みは依然として著しく、全国の需要減をカバーする勢いには程遠いものがある。
  10年度のミル・商社筋の鉄骨需要予測は400万トン超とみている。強気の読みとして、多くとも450万トン前後とかなり厳しい予測値となっている。この数年の減少による反動需要増に期待を込めるものの、政府の建設投資(公共投資)抑制策と、景気不透明から民間投資(建築投資)意欲の回復兆しが希薄であるとの観測との交差である。もし、今年度も月平均35万トン程度で推移するとなれば、ファブ業界は淘汰(サバイバル)時代に突入することは避けられない。
  鋼製橋梁ファブ業界は本四架橋などの最盛期のピーク時には80万トン台を記録した以降、減少し続けこの数年は30万トン台となり、今年度は30万トンを割る状況にある。業界はホールディング化(HD)、提携・合併など企業再編成によって乗り切ろうとしている。
  建築鉄骨ファブの多くは中小企業のため、企業統合化が難しく具現化されていないが、400万トン台時代が当分続くとなれば、何らかの対応策は求められるものと思われる。

 
 
     

第9回「日中建築構造技術交流会」を開催
東京・日大で9月17・18日 =JSCA=

 

 

  日本建築構造技術者協会は、「日中建築構造技術交流会」を日本と中国の建築構造分野の研究者の提案により、双方の構造技術者による技術交流と友好促進を目的として1993年に設立した民間交流組織である。
  93年から15年にわたり、北京市・上海市・深?市・大連市・西安市・杭州市・重慶市と続き、そして再度の北京市での開催と、中国国内において8回の交流会を実施。さらに設立10周年の節目である第6回杭州市と第7回重慶市での開催後の翌年には、その第2次交流会を東京で開き、日中双方の懇親を深めた。
  また、08年7月に「?川地震現地視察検討会」を被災地・成都市で開催し、同地震の被害に関する専門的な意見交換を行った。これらの技術交流会は日本と中国の専門家間の技術交流、相互理解と友情の架け橋となり、これまで双方から約2,000名が参加している。
  第9回交流会は初めて東京で開催する。会議は、全体で行う基調講演と全体討論会を5会場に分かれて行い。テーマ討論会と学術報告会(15セッション)で構成されている。
  このうち「日中両国における設計・改修の新基準に関する実施状況とその後の動向」のセッションでは、日中双方が同じ仕様の建物を日本と中国のそれぞれの基準によって試設計し、その結果を比較・検討するという新しい企画を予定している。いずれも討論の時間を十分に取るように計画しており、参加者の論文を募集している。
  この15年間は世界中で大地震多発した時期で、日本と中国の国内外の建築構造技術は大いに発展を遂げた。今回の会議は、これからの日中交流会の在り方を示す第一歩になるよう双方に関心が深いテーマを選び、より一層高い水準、より有効な論文発表・討論とともに、これまでと変わらない技術交流が行われるよう企画している。

<日時・内容>
▽期  日 : 2010年9月17日(金)−18日(土)
▽会  場 : 日本大学理工学部1号館(東京都千代田区駿河台1−8−14)
▽参加登録費:30,000円
▽内  容 : 論文および討論意見のテーマ
1) 構造技術者の役割とあり方・安全・経済および地球環境問題
2) 新しい材料・システムを用いた超高層・大空間建築および基礎構造の設計・施工に関する実例
3) 免震・制振構造及び既存建物に対する改修・補強技術の設計・研究
4) 鋼・コンクリート他各種の構造に関する研究および応用
5) 日中両国における設計・改修の新基準に関する実施状況とその後の動向
6) 大地震動と建築物の終局耐震性
−?川地震(中国)、集集地震(台湾)、兵庫県南部地震と建物被害の考察−

<記>
▽出席の締切り : 2010年7月31日(150名の参加を予定)
▽本論文締切り : 2010年6月30日
▽本  論  文 : 使用言語は日本語、中国語または英語、10頁以内。
(論文中のアブストラクトは日本文、中国語論文の場合は英文、英語論文の場合は日本文)
▽発 表 形 式 : 口頭発表およびポスターセッションを予定。
▽参加について : 論文は出さなくても参加できますが、討論会への積極的な参加を希望。
▽申 込 み 先 : JSCA事務局、FAX03−3262−8486/eメール:info@jsca.or.jp
(申し込みの際は、氏名、勤務先、住所、TEL、FAX、E-mail を記入)

*JSCAホームページより転載

 
 
     

マレー半島横断運河プロジェクト構想
マラッカ海峡迂回ルート

 

 

  海賊が出没するマラッカ海峡をショーカットし、マレー半島を横断する運河構想が浮上している。日本と中東、欧州を結ぶ海上航路として難所として知られマラッカ海峡。マレー半島の狭さく部(ミャンマー・タイ国境地帯)に運河が開通できれば、航路の安全と短縮につながる夢のプロジェクトである。
  マレー半島を開削して、インド洋とシャム湾を結ぶ運河ルートは17世紀のタイのラーマ一世時代から幾つもの候補地があって、400年近くその優劣が議論されてきた。1998年に日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(GIF)が調査し、ベストルートとしてソンクラ近くを推奨した。02年にタイ議会・専門委員会の調査ではGIF案の北にルートを決めたが、構想自体が挫折した。昨今、NPO法人「水の旅人」(東京・渋谷、小峰良介理事長)が新たなルートを提案している。
  水の旅人の長野正孝専務理事(元運輸省官僚)による新ルート案とは、「インド洋側のラノーン港からミャンマーとの国境を接する狭い水路を通り、ラノーン県とチュンポーン県にまたがる山地を抜ける。さらにシャム湾に向けて3つのルートを選定している。条件に合わせ、どのルートも施工が可能とみている。このルートが議論にならなかったのは、ミャンマーの国境に近く、見ただけで山が険しく、調査から除外されていた」との見解だ。
  長野氏は、運輸省時代に第2パナマ運河に関係する国際委員会に出向し、退官後も日本の運河復活、川の船運復活を提唱してきた。その関係からマレー半島運河とマラッカ海峡の調査を行った。
  長野新ルート運河の距離はGIFルートやタイ議会ルートの半分の58キロ程度で、航行は約4時間。アプローチも含め8時間ほどでインド洋とシャム湾を結ぶことができる。マラッカ海峡を航行するには2日かかるため、大幅短縮になる。25万トンタンカーや大型コンテナ船、自動車専用船が50〜70隻で、マラッカ海峡の20%の通過量をカバーできるとしている。マレー半島を横断運河構想が実現すれば、日本にとって大いなるメリットにつながり、タイにもこの地域の経済発展につながる。
  閉塞状態が続いている日本経済。こうした巨大プロジェクトに投資してみるのも景気回復への起爆剤になるかしれない。