QCC ニュース No.126号 (2010年7月5日号)
 
     
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中国の労働事情が激変
出稼ぎ労働者の格差意識が芽生える

 

 

  「世界の工場」と呼ばれてきた中国の労働事情に変化が起きている。深せん市の台湾企業に勤める若年労働者らが低賃金と自由がないことを非観し、自殺者が相次いだことから同社は二度にわたる賃上げと生活環境の改善策を行った。この情報は携帯やインターネットで瞬く間に広まり、各地で賃上げを求める労働争議が起きている。
  深せん・上海・大連市など沿岸都市の急速な発展が内陸都市との格差を拡大し、地方から都市工場に出稼ぎ労働者として大挙して来ることから生じる格差意識の芽生えが「低賃金で仕事がきつく、生活も単調で自由がない。都会人はきれいな服装で優雅な生活」と不満が高じて自殺へとつながった。
  労働争議を扇動する主導者は、改革・開放以降に生まれた世代である。彼らは大学卒などの高学歴者で、権利意識も高く、インターネットなどによる情報収集力を持つ知識層である。この世代は一人っ子政策で生まれのため、北京・上海市などの華やかに暮らす若者らとの知識・意識差は少ないため、低賃金・単調労働で働く若年労働者との環境・生活格差に対する不満は相当に強く、社会の矛盾を是正しようとしている。
  ここにきて、トヨタ・ホンダ系部品工場のスト騒動で自動車生産が操業停止に追い込まれたた。内陸部からの労働者は2万円程度の給与に不満を訴えている。「今月は1,100元(1万4,000円)しかなかった」と給与明細を見せる光景が日本のテレビで放映されているが、中国ではストや労働争議のニュースは一切放映されていない。
  中国が高付加価値生産と高賃金化となれば、機械化・合理化によるコストダウンによる人件費半減を模索し、台湾系企業のように中国から他の低賃金国をめざして撤退していくとも十分考えられる。日本の企業は、当面は中国重視の姿勢に変わりなく、「巨大な市場」の現地販売へシフトしていくものと思われる。

 
 
     

5月度の鉄骨造需要は33万2,950トン
前年同月比18.5%増、前月比2.7%減

 

 

  国土交通省が6月30日に発表した建築物着工統計によると、10年5月の建築物面積合計は9,262千平メ―トル(前年同月比5.0%増)で、前年対比は微増ながら前月続きプラスになった。 
  建築着工の延べ床面積では、▽建築主別の公共建築物が782千平方メートル(同25.1%増)の6ヵ月続けての増加。民間建築物は8,480千平方メートル(同3.5%増)と3ヵ月に続いての微増となった。
  ▽用途別では、居住建築物(マンション・住宅など)は5,831千平方メートル(同0.0%)、非居住建築物(ビル・工場・店舗など)は3,432千平方メートル(同14.7%増)で、居住・非居住建築ともに3ヵ月続いての増加。
  ▽構造別では、鉄骨系建築物では、S造は3,244千平方メートル(同23.2%増)と2ヵ月続いて増加した。SRC造が171千平方メートル(同51.4%減)と再度減少に戻った。ちなみに、RC造は1,733千平方メートル(同10.5%減)と2ヵ月続いて減少している。
  ▽鉄骨需要換算では、S造は32万4,400トン、SRC造が8,550トンの鉄骨合計が33万2,950トン(同18.5%増)となったが、前月比では2.7%減である。

 
 
     

10年度の建設投資見通し40兆7,000億円
GDPに占める建設投資は8.6%に激減

 

 

  国土交通省総合政策局が先月25日に発表した2010年度建設投資見通しは、政府投資が13兆7,600億円(前年度比18.6%減)、民間投資が26兆9,400億円(同6.6%増)の40兆7,000億円となる見通しである。
  これを建築と土木別にみると、建築投資が24兆7,100億円(同3.9%増)、土木投資が15兆9,900億円(同13.0%)の見通しとなる。41兆円規模の建設投資は、1977年度の38兆7,986億円以来33年ぶりの低水準である。
  ちなみに09年度の建設投資額は、前年度比11.5%減の42兆1,700億円となる見込みである。このうち政府投資は16兆9,000億円(同4.3%増)、民間投資は25兆2,700億円(同19.6%減)と見込まれる。建築・土木別に見ると、建築投資が23兆7,900億円(同16.4%減)、土木投資が18兆3,800億円(同44.3%減)となる見込みである。
  96年度に約83兆円であった建設投資は、その後減少傾向をたどっており、07年度、08年度と47兆円程度で横ばいであった総額も、09年度から順に落ち込み、10年度については、約40兆円程度となる見通しである。
  国内総生産(GDP)に占める建設投資の比率は、75年頃は20%以上あったが、その後、減少傾向となった。86年度から90年度にかけて一時増加したものの、その後再び減少基調となり、10年度は、8.6%となる見通しである。

 
 
     

新日鉄の最高強度UO鋼管500N
「豊洲3丁目3−3街区計画」で採用

 

 

 新日本製鉄は、このほど建築構造用UO鋼管としては最高の設計強度を持つ「BT−HTP500UO」(500N/平方ミリ)を東京・江東区の新築ビル「豊洲3丁目3−3街区計画」は、第一生命保険が建築主で、清水建設が設計、清水・前田・日本建設JVによる施工で、建築規模は地下1階・地上14階建て(高さ約75メートル)、延べ床面積約9万8,823平方メートル(鉄骨総量約1万5,000トン)の高層建築物に初めて採用すると発表した。
 同ビルの構造は、1階と2階との間に免震層を配した中間免震構造で、柱の本数を減らして室内空間を大きくとるために、高耐力のコンクリート充填鋼管柱が用いられている。同UO鋼管1,200トン使用のうち、500N(ニュートン)は100トン、400N(同)は1,100トンとなっている。500Nは、建設中の「東京スカイツリー」(高さ634メートル)で角形鋼管として採用されており、今回の採用例2例目である。
 同社は08年にこの鋼材と鋼管を開発・発売し、設計強度が強く溶接も容易なことから柱部材専用製品として拡販を進めてきた。超高層化建築に対応するため、1平方ミリ当たり700Nの鋼材も開発する計画である。
UO鋼管の製造は、厚板をオンライン上でプレス機によって、「U」字状に曲げ、さらに「O」字状に成形し、円筒状に仕上げた後、継ぎ目をサブマージアーク溶接で内外面から溶接した後、拡管により寸法精度を整えて製造した鋼管。製造可能範囲は外径457.2〜1,422.4ミリでおもな用途はラインパイプ、高層建築の柱、タワーなど。
 UO鋼管製造は、新日鉄君津製鉄所の厚板製造工程に導入した次世代型制御冷却プロセス。制御冷却プロセスとは、圧延後に加速冷却をおこなうことにより鋼材の強度や靭性を高める技術。CLC−μは、従来技術をさらに発展させ、冷却ノズル型式や水量制御方法などの改善により冷却制御性の一段の高度化を図り、材質の造り込みの自由度を格段に高めた新日鉄の独自プロセスである。

 
 
     

世界最強鋼材と制振デバイスの新研究棟を建設
住友金属工業・総合技術研究所

 

 

  住友金属工業は、総合技術研究所(尼崎市扶桑町)内に新研究棟、新実験棟を総額100億円で建設する。設計・監理は日建設計、施工は清水建設で先月24日に着工した。
  新研究棟(S造、地上5階、延べ床面積2万0,377平方メートル)の1階鉄骨を世界最強度の建築用鋼材「SSS1000」を使用する。同鋼材は、建築鉄骨の主要部材となる厚鋼板では世界最高の1000メガパスカルの引っ張り強度を持ち、大地震でも建物が損傷せず、その後も使用できる「無損傷建物」を実現できる。
  この鋼材と、大阪大学、京都繊維工芸大学、日建設計、片山ストラテックとが共同開発した制振デバイスを組み合わせ、1階部分に集中配置し、建物の耐震性を高める。
  新研究棟の2階−4階フロアは23メートル×100メートルの無柱大空間とし、研究者同士のコミュニケーションを活発にできる配慮が施されている。また各階を2ヵ所の室内階段で結ぶ斬新な構造になっている。
  新実験棟(S造、同4階、同5,633平方メートル)の鉄骨は従来鋼材を使用。新研究棟とブリッジで結び、研究業務と実験業務をスムーズに行えるような構造的な配慮がされている。